フジファブリック デビュー15周年
ミスチル桜井や槇原敬之など、著名なアーティストがカバーする「若者のすべて」を筆頭に、数々の名曲を生み出してきたフジファブリック。彼らは2019年にデビュー15周年を迎える。その道のりは、多くの後進アーティストに影響を与え、そのルーツとなってきた。
彼らの影響を受けているバンドも現れ、彼らだけの音楽だったものが、一つの音楽ジャンルとして確立されていく。一体どのような形で、フジファブリックの音楽性は別バンドに受け継がれているのだろうか。いくつかご紹介したい。
パスピエ
作詞作曲を担う成田ハネダ[Key.]がフジファブリックの「虹」を、自身がバンド活動を始めるきっかけとなった曲として挙げている。バンドでありながらポップに展開する楽曲「とおりゃんせ」では、どこか和を感じる歌メロにフジファブリックの姿が見える。
成田いわくキーボードが伴奏ではなく、中核として機能しているところに、強い衝撃を受けたという。フジファブリックのキーボーディスト・金澤ダイスケは、多くのバンドがギターで作るイントロの展開を、独特のファンキーでポップなリフで構築してきた。その極地が「虹」であるとするならば、この一曲が多くのフォロワーを生んでいたとしても、納得がいく。
フジファブリックの国技館における「虹」の演奏は、日本のバンド史上に残る名演だ。まだ見たことがない人はぜひ一度。
Ezoshika Gourmet Club
明らかに影響を受けている楽曲「昨日の月にさまよえば」を発表しているのは、東京で活動しているEzoshika Gourmet Club(エゾシカグルメクラブ)。作詞作曲を担うVo.の池澤英(イケザワスグル)は、吉祥寺で「フジファブリックナイト」というイベントに出演するほどのフォロワー。「桜の季節」「赤黄色の金木犀」「若者のすべて」「破顔」そして「MUSIC」、思えばフジファブリックには、季節を歌った曲が多い。そのノスタルジックな側面を彼らが受け継いでいるのだと、私は思う。
宇宙団
女声版フジファブリックともいうべき中毒性のあるポップ&サイケなキーボードのリフ。メンバーがフジファブリックへの愛を語り、カバー系のイベントにも出演している。明確に影響を受けていながらも、女声という部分をオリジナリティとして昇華し、歌詞にも反映させているところが素晴らしい。
KOTORI
聴けばわかるリスペクト具合。曲調はロックなんだけども、歌詞がフジファブリック大好き人間の書いたものだと、一聴してわかるようになっている。志村正彦の持っていたノスタルジックな言葉の力を、ストレートなロックとミックスする新しい試みである。
ネクライトーキー
人気が急上昇している中毒系ポップバンド・ネクライトーキー。フジファブリックの「台風」をオマージュした楽曲「タイフー!」をリリースしており、彼女たちのポップの根底にフジが混じっていることが示されている。耳に残るキラーフレーズがあるところが、彼女ら/彼ららしさだろう。
おわりに
今なお影響を与え続ける志村正彦。その遺志を継いだ山内総一郎・金澤ダイスケ・加藤慎一。彼らの歩んできた道のりは遠く、今やこれだけのフォロワーバンドが表れるようになってきた。
多くの人にとってルーツとなりつつも、今なお前に進み続けるフジファブリック。ビッグな存在になりたがっていた志村が、死後に自分の音楽がここまで邦楽に影響を与えて、仲間たちが今も進み続けていることを知ったら、どんな顔をするのだろうか。
フジファブリック史上初の、ファン投票で収録曲が決まるベストアルバム『FAB LIST 1』『FAB LIST 2』がリリースされている。1は2004~2009年、2は2010年-2019年のトップ15曲がリマスター音源で収録。初回生産限定盤では併せて、貴重な当時のライブ音源を多数収録したCDも付属する。
あなたの好きな楽曲は収録されているだろうか。ぜひ確認してみてほしい。
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コメント
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