羊文学・塩塚モエカの使用ギター&エフェクターからルーツに迫る

羊文学のフロント・塩塚モエカの使用機材に迫る。ギターやエフェクターの選択から見えてくる羊文学のルーツとは?
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羊文学の音楽性と塩塚モエカの使用機材

羊文学の音楽性からは、オルタナティブ・ロックやシューゲイザー(※)的な要素が感じられる。「光るとき」の3:00~からのリバーブを激しく聞かせたギターのフレーズなどは、まさにシューゲイザーの借用だろう。大衆性とオルタナティブをうまく両立させているように感じる3ピースバンド・羊文学のフロントである塩塚モエカの使用機材は、やはりオルタナティブロックの気配をにじませるものだった。

シューゲイザー:音楽ジャンルの一つ。空間系エフェクターやフィードバックノイズを多用したノイジーで浮遊感のあるサウンド等が特徴。エフェクターを多用するため演者が足元を見ることが多かったことから、Shoe+Gazer(靴を見る人)という呼び名がジャンル名になった。

塩塚モエカの使用ギター:Fender USA FSR American Vintage 65 Jaguar

塩塚モエカのギターと言えば、ソニック・ブルーと名付けられた水色のボディが可愛いFender社製ジャガー。このギターはいわゆる「ジャキジャキ」したサウンドが特徴と言われている。サスティン(音の伸び)が短いことから、塩塚モエカのようなストローク主体(一度に複数の弦を鳴らす奏法)のオルタナ系ギタリストに愛されている。

羊文学のようなオルタナティブ・ロックで、ジャガーがよく採用されるのは、このジャンルを世に広めたニルヴァーナのカート・コバーンがジャガー使いだったからだろう。名エフェクター・ビッグマフとジャガーを組み合わせた彼のサウンドは、ハードロック主体だったロックシーンをぶち壊した。ニルヴァーナ登場後、ロックの主流はオルタナティブロックに取って代わられたのである。

塩塚モエカもカートコバーンのことが好きなのか、彼の自筆の日記を日本語訳した本をプレゼントされたようで、インスタグラムにアップしている。

ギターにはシューゲイザーバンド、ヨ・ラ・テンゴのサイン

2018年に新代田FEVERのライブイベント「GET TOGETHER」にて共演

塩塚モエカのジャガーのボディーにはシューゲイザーバンド ヨ・ラ・テンゴのベーシストであるジェイムズ・マクニューのサインが入っているとのこと。羊文学の音楽性から推測される通り、生粋のオルタナ好きのようだ。

ちなみに筆者のYo La Tengoオススメ曲は「Season of the Shark」

塩塚モエカの使用エフェクター①ビッグマフ

彼女がインスタグラムにアップした写真から、使用エフェクターも垣間見える。右でひときわ目立っているのは、カートコバーンも愛用した名ファズ※であるビッグマフだろう。

きめ細やかでインパクトのある歪み系エフェクター

綺麗なディレイの効いた音を演奏している塩塚モエカは、2:09~のタイミングでビッグマフを踏み込み、ノイジーな間奏でオルタナティブな音楽性を表現する。その後、4:25~で演奏する「1999」では、イントロから足元のビッグマフをオンにして演奏しているようだ。激しく歪んだギターの音と、全然服装を合わせてこないドラムが良い。このライブの映像の足元をよく見ると、先ほどのインスタで引用したものとほぼ同じ配列のボードを使っていることが分かる

塩塚モエカにとって、ビッグマフは憧れのエフェクターだったという。まだ洋楽をあまり知らない時期に、ヤックの「Get Away」をタワレコで聴き、初めてシューゲイザー感のあるノイジーなギターサウンドに出会ったとのこと。

こちらの曲を聴いていただければわかると思うのだが、ここには羊文学の重要なルーツというべきギターサウンドが録られている。この音に衝撃を受けた塩塚モエカは、同曲のCDのブックレットに写りこんでいたエフェクター・ビッグマフに憧れることになる。まさに羊文学の誕生前夜のエピソードである。

ファズ…エレキギターらしい「歪み」を発生させる装置。その刺激的なサウンドが、オルタナティブロック的なサウンドを形作る。

塩塚モエカの使用エフェクター②STRYMON blueSky Reverb・Red Panda Raster

深いリバーブがかけられたギターサウンドが特徴的な「マフラー」

先ほどの写真の下側に写っているのが、このリバーブとディレイ(※)だ。残響感の強い羊文学の音像を構成する重要なエフェクターだと思われる。オルタナティブな音なだけあって、かなりハイエンドな空間系エフェクターを揃えている印象だ。

※リバーブ…空間への反射音を再現するエフェクター。カラオケのエコーのイメージ。
ディレイ…演奏した音を繰り返すエフェクター。やまびこのようなイメージ。

塩塚モエカがディレイを踏む瞬間

開始位置を指定してあるので、ぜひそのまま再生してみてください

1:13~で彼女はRed Panda Raster(ディレイ)を踏み込み残響音の強いギターを演奏する。間奏明け、ディレイにより、反響音が印象的なフレーズの上で歌われるのは、メロディアスであることをあえて廃した衝動的な歌詞。その後、先ほどのビッグマフを踏み込むシーンに接続し曲はドライブしていく。ラスト、ビッグマフを踏み込んだ爆音の中で歌い上げる塩塚モエカ。羊文学が曲展開を作るうえで、これらのエフェクターがどれだけ重要な役割を果たしているかに注目して聴いてほしい

おわりに

羊文学のフロント、塩塚モエカの使用機材について調査してみた。やはりオルタナティブなサウンドが特徴的な彼女らしく、ジャガー+ビッグマフにハイエンドの空間系という「王道」ともいうべき組み合わせだった。ただ、ビッグマフさえあればリバーブは他の安価なもので代用してもそれっぽくなるような印象ではあるので、コピーなどされる方はぜひ試してほしい。

塩塚モエカの使っている巨大なビッグマフとは違う、使いやすいサイズのものもある


また、もっと手軽にお揃いのものを使いたいという方はカポタストがおススメだ。

値段の安さとすぐに着脱できる便利さで知られたクイックチェンジカポの名器・カイザーKG6の中でも、最もカラフルなタイダイ柄を使っているようだ。
また追加の情報が出てくれば、順次機材の情報をアップデートしていくので、ぜひ読みに来てほしい。それでは。

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