アジカン「新世紀のラブソング」に込められた問いかけとは?

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ASIAN KUNG-FU GENERATIONの新境地

「新世紀のラブソング」はASIAN KUNG-FU GENERATION史の中で、かなり特殊な部類に入る曲だ。声を裏返しながら叫びまくっていたゴッチが、まさかのラップである。更にドラムのビートはブレイクビーツを意識したHIPHOPスタイル。なのに人力で打ち込み無し。

いったい僕らのアジカンに何が起こったのかと、不安になったものだ。大人になった今、この現象を捉え直してみたい。

「新世紀のラブソング」

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『新世紀のラブソング』

タイトルが「新世紀」と示しているように、アジカンにとって新しかった。新しすぎて最初は何がなんだかわからなかった。平坦な曲は突如としていつものアジカンに戻っていく。

アジカンの6thアルバム『マジックディスク』では、1曲目に収録されている。別人のようなアジカンが顔を出し、いつものアジカンに戻り、そのまま何気なく9曲やって、最後に浅野いにお作詞の「ソラニン」でアジカンじゃなくなる

アルバムではこのような導入というイメージだが、シングルとしても出されているし、BESTにも入っているのでかなりお気に入りの曲のようだ。

不思議なMV

MVも不思議である。精神を病んだサラリーマンが心療医に心の奥深くへと導かれる。この医師はフロイトさながらに、この男が抱えるトラウマと向き合わせる。そして最後は心の奥底で出会った、思い出の女の子と再開し結ばれる。

その心象風景は荒涼としているが、それは運命の相手である女の子が側にいないからだ、といったらキザだろうか。

※フロイトが考えたトラウマとは、「心の奥底にあり無意識に自分を操るが、思い出せない記憶」である。フロイトは心の中からトラウマを見つけ出し、思い出させることで治療しようとした。この男にとってはそれが戦争の映像であり、二階堂ふみだったようだ。

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歌詞の内容

解釈していく上で歌詞が最大のヒントになっていくだろう。順番に考察していきたい。

マジックディスク
ASIAN KUNG-FU GENERATION, アジアン・カンフー・ジェネレーション
KRE

日々抱えている後悔

あの日 僕がセカンドフライを上手に捕ったとして
それで今も抱えている後悔はなくなるのかな
十五年たってもまだ捨てられない僕がいて
生活は続く 生活は続く

夕方のニュースで何処かの誰かが亡くなって
涙ぐむキャスター それでまた明日
そんなふうには取り上げられずに僕らは死ぬとして
世界は続く 何もなかったように

引用:新世紀のラブソング/作詞作曲:後藤正文

ここに読めるのは圧倒的な虚無感である。どうせ俺なんかが何やっても、なんなら死んでも誰の目にも止まらないんだ。誰も見てないんだから。なのにあの日取り損なった打球は自分の心の中で刺さり続けている。誰も覚えていないのに

こうして心に刺さったトゲを抜けないまま、無情にも時は流れていく。

過去と向き合うこと

ほら 君の涙 始まれ21st
恵みの雨だ
僕たちの新世紀

引用:新世紀のラブソング/作詞作曲:後藤正文

フロイトとは違うかもしれないが、辛い過去と向き合わずに人は成長しない

だから過去を思い出し涙を流すことは、新しい自分になっていくキッカケになる。ああ涙って恵みの雨だな。そう思わせてくる。

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平穏な日々に浸る

あの日 君が心の奥底を静かに飲み込んでいれば
誰も傷つかずに丸く収まったかな
ボロボロになっても僕らは懲りずに恋をして
生活は続く 生活は続く

朝方のニュースでビルに飛行機が突っ込んで
目を伏せるキャスター そんな日もあった
愛と正義を武器に僕らは奪い合って
世界は続く 何もなかったように

引用:新世紀のラブソング/作詞作曲:後藤正文

失敗して後悔して、それを背負って生きていく。そして平坦なビートに突如乗せられる衝撃的な言葉。9.11である。僕らの平和な日々は誰かを傷つけていて、世界のどこかでは憎しみが渦巻いている。そんなことにも気づかずに僕らは生きていく。

やはりここにあるのは虚無感、そして平和な日本への皮肉ではないかと思う。このあとBメロをはさんで、突如「平凡な誰か」は「アジカンのゴッチ」へと戻る。

ASIAN KUNG-FU GENERATION登場

覚めない夢とガラクタ商品
背負い込む僕らのアイデア
冴えない詩の如何様ストーリー
それを鳴らす それを鳴らす

変わりない日々をひたすら消費
縫い繋ぐ僕らのアイデア
冴えない詩の如何様ストーリー
それを鳴らす それを鳴らす

引用:新世紀のラブソング/作詞作曲:後藤正文

自分の作った歌を「ガラクタ商品」と例えている。自分に自信は無い、でも夢は覚めないなら「鳴らす」しかない。突如として目を覚ますミュージシャンとしてのゴッチ。続くフレーズではその心中の想いを打ち明ける。

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