インコグニート初心者の観た来日ツアー@梅田クラブクアトロ

2018年12月11日に梅田クラブクアトロで行われたインコグニートの来日ツアーの感想。
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インコグニート初心者

俺はインコグニートをあまり知らない。何曲か聴いたことがある程度の知識量だ。それなのに友人に誘われるまま、インコグニートを見に行くことになった。普段ならよく知らないバンドのライブレポートは怖くて書かないのだが、今回は深く感動したので感想という形で書いてみることにした。

親日家ブルーイ

 

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インコグニートのリーダー、ジャン・ポール・’ブルーイ’・モーニックは親日家なので、ブルちゃんと呼ばれている。これはネットで見た情報だ。半信半疑でライブ会場に向かうと、MCの初めの言葉はこうだった。”I am ブルちゃん!”

ブルーイは親日家なので、ブルちゃんを自称している。61歳のおじさんなのだが、MCに観客から飛び交うのは黄色い歓声。そこかしこから「かわいい」コールが聞こえてきた。嘘だろ…と思ったが、ライブが進行するとともに段々かわいく思えてきた。MCでも決して重鎮ぶらない、気さくな人だ。そしてギターのカッティングは絶品。

大所帯の理由

繰り出される超絶演奏とグルーヴに乗っかって踊り続ける観客。なんとなくアース・ウインド・アンド・ファイアーの「ブギー・ワンダーランド」を思い出していると、ブルーイがMCで自身のルーツについて語り始めた。

世界一有名なラテン・ロック・バンド、サンタナを若き日に観に行ったブルーイは、その会場で奇妙な名前のバンドに出会ったのだという。たくさんの鍵盤を操るキーボーディストやタコのように素早い動きで音を鳴らすパーカッションなども在籍する大所帯バンドだったそうだ。その名前こそアース・ウインド・アンド・ファイアー、彼らの出したレコードは、ブルーイの人間性や人生にまで影響を及ぼしているのだと、熱く語った。バンド編成も、当時のアース・ウインド・アンド・ファイアーと同じになっていて(ツイン・ギターやホーン・セクション)、自分の中に息づく彼らを感じると言う。「あなたもそんな風に影響を受けるレコードに、出会ってほしい」という言葉が印象に残った。

ゲスト:アンプ・フィドラー


今回のスペシャルゲストはアンプ・フィドラー。J・ディラの師匠として、ネオソウルムーヴメントを間接的/直接的に生んだ人だ。大人の色気ムンムンのヴォーカルと、あまりにも熱いシンセサイザーのソロ。3曲をインコグニートと共に披露し、ラストにも参加した。

多民族なバンド

インコグニートはリーダーであるブルーイを中心とした流動的なバンドで、ライブ毎にメンバーが違うこともあるらしい。そして固定メンバーで無いからこそ、高い技術が求められる。今回は2時間のセットリストだったが、初参加の人はぶっ続けで初めて挑戦する曲をやり続けることになるわけだ。当然、アドリブ力を備えた超絶ミュージシャンが顔を揃えることになる。本当に素晴らしい演奏だった。

ソウルを念頭にステイし続けるコード進行の上で輝くのは、3人のヴォーカル。それぞれが魅力的な声質で交互にメインヴォーカルを取る。母はスリランカ人、父はジャマイカ人のイマーニを筆頭に、モー・ブランディスとジョイ・ローズ、ドイツとジャマイカがルーツの2人が並ぶ多民族な布陣だ。リズム隊もインコグニートを支えてきたフランシス・ヒルトンはジャマイカ出身。10分に及ぶ激熱ソロバトルを繰り広げたDr.フランチェスコ・メンドリアとPer.ジョアン・カエタノは、それぞれイタリア・中国出身。そしてリーダーのブルーイはインド洋に浮かぶモーリシャス共和国出身だ。

ブルーイがMCで語っていたのは、音楽の力。人種も肌の色も超えて、人をポジティヴな方向へ動かしていく音楽の魔法。人種だけでなく音楽性も多民族な彼らが叫ぶからこそ、響く言葉だった。色々な民族の音楽が、インコグニートという匿名のマスクの下で溶け合い、地球船宇宙号の生み出したハイブリットな産物として、暗に民族の融和を願っていた。

アンコール

最後の一曲を終え、”Beyond color, beyond creed, We’re One Nation under the groove!”と言いつつ、ボブ・マーリーの「ワン・ラブ」を流して楽屋にはけていくブルーイ。観客のアンコールを求める拍手に答え「いつもはボブ・マーリーを流して終わりなんだけど…大阪は好きだからもう一曲やるよ」と言いながら戻ってきた。

そして全員が準備を終えるまでの間に、アドリブセッションを披露。ギターのフランシスコ・サレスに全体の構成を委ねながら繰り出したのは、その場で作曲される大阪の歌。ブルーイは即興歌で「大阪」と「もうかりまっか」を連呼していて、大阪生まれの身として嬉しかった。そしてコーラス隊も合流、アドリブで合わせていくミュージシャンのすごさを見せつけられた。

アンコールは「Nights Over Egypt」。ヴォーカルの絡みと前に飛んでいくホーンセクション、最高だった。こういうコーラスって初めて生で聴いたけど、本当に音源みたいに綺麗に再現できるんだな。

おわりに

一言で総括するとめちゃくちゃ良かった。お茶目だけど熱さもあって、そして音楽の力を強く信じていたブルーイ。働き詰めの日本人たちにエナジーを注入した今回のライブのように、インコグニートのダンスミュージックは世界を明るくしていくだろう。アルバムが約20枚もあるそうで手が出なかったが、これからは一枚ずつ聴いていこうかと思う。それでは。

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