【BGM】『となりのトトロ』を見るときに注目すべき久石譲の技

『トトロ』の音楽には様々な工夫や技術が導入されていた!
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『さんぽ』によって無国籍な映画へ

オープニングテーマ『さんぽ』は幼稚園や小学校でも使われ、現代を代表する「童謡」となった曲だ。実際に多くの童謡CDに収録されている。

注目したいのはイントロにバグパイプが使われていること。『となりのトトロ』が失われた古き良き日本を振り返る、懐古趣味的な映画になっていないのは、テーマに捉われず表現を模索したからだろう。

宮崎駿は『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』の後に『となりのトトロ』を制作した。彼の頭の中にある壮大な世界を舞台にした2作に続いて、昭和30年代の日本を舞台にした『トトロ』でも日本人の郷愁を誘うような、小規模な物語は撮らなかったのである。

だからこそ『トトロ』は、民族楽器でありながら文脈から切り離され無国籍となったバグパイプによって始まる。昭和ではなく、人類の原風景を描き出す。

『風のとおり道』で日本を描き出す


『となりのトトロ』を彩る名曲「風のとおり道」を、久石譲と宮崎駿は裏テーマと呼んでいたそうだ。『さんぽ』とは対照的に、日本的な二六抜き音階(※)から始まる曲で、スタジオジブリの名監督・高畑勲は

高畑勲 「『風のとおり道』はどこか懐かしい、しかし古臭くない、これぞ日本的なものと現代人が思いたくなる曲です。歌謡曲で少しずつ市民権を得ていた二・六抜き短音階を、理想的な『自然』と結びついた新感覚として定着させたんじゃないでしょうか」

引用:hibikihajime.com/

と評している。日本的な音階と『自然』を結び付け、新たな日本の音楽を生み出した。

もともとトトロ用に作曲されたものではなく、
トトロよりも先にできていたそうですが、久石氏は
「この曲はここで使うために生まれてきたんだ」
と感じたとのことです。

引用:色んなレビューサイト

という情報もあり、すごく運命的なものを感じる。あの場面に使うために書かれた曲じゃないなんて。この曲は『トトロ』を待っていたんだ。

(※二六抜き音階:日本の伝統的な音階のひとつ。演歌や歌謡曲はこの音階を使って作られることが多い。『上を向いて歩こう』『夏祭り』や星野源『恋』のサビのメロディなども日本的な音階で作られている。)

無国籍な『さんぽ』と新たな日本像を作った『風のとおり道』、どちらも改めて聴いてほしい。

オーケストラのさりげない超絶技巧

生で演奏されるオーケストラが、他作品より多いのが『トトロ』の特徴。(久石譲が制作中に病を患い、シンセを自分で弾けなくなったことが理由。)特に注目したいのは物語序盤、メイがお玉じゃくしを捕まえようとする→ドングリ発見→小トトロを追いかけるあのシーン。

小トトロを追いかけるメイの動作や画面の動きが、ゼロコンマ以下の精度でオーケストラと連動している。単に合わせるだけでなくリズムに変化を付け、意欲的に取り組んだ劇伴だ。ぜひ注目してほしい。

まっくろくろすけの声

『ナウシカ』の王蟲が出す声が、元BOØWYの布袋が演奏したギターだというのは有名な話だが、すすわたり(まっくろくろすけ)の声はご存じだろうか。

実はアフリカのピグミー族という部族の声を、久石譲がシンセサイザーで加工したものが、声として使われている。美しい声と小さい体で知られる人々で、久石譲の見識の広さに驚くばかりだ。

あなたはすすわたりの声を思い出せますか?

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おわりに

今年の夏も金曜ロードショーで『となりのトトロ』をやると聞いたので、書いてみた。

久石譲の作り出した音の世界にも気を配って再見してほしい。それでは今週の金曜日、盛り上がろう。

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