星野源が『ギャグ』で歌ったマンガって本当にあるの?

星野源がギャグマンガについて歌った5th Single『ギャグ』。ギャグマンガのどういった要素を歌っていたのか考えてみた。
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『ギャグ』

ギャグマンガについて星野源が歌った『ギャグ』は、アニメ映画「聖☆おにいさん」の主題歌として書き上げられた彼の5枚目のシングルだ。ギャグマンガの表層にある「笑い」ではなく、そこから星野源が得た「救い」を歌ったような一曲だ。

「ギャグ/星野源」の歌詞 って「イイネ!」
「紙を重ねて 指を重ねて 物語は動き出す …」勇気をもらったり、泣けたり、癒されたり…、この歌詞をチェックしてみて!人の心を打つ「言葉」がぎっしり!
歌詞はこちら

始まりの一節にある「ギャグマンガに隠された本当のこと」、それはいったい何だろうか。星野源の好きなギャグマンガから辿っていきたい。

日常

星野源が大ファンであり、アルバム『Stranger』に1Pマンガを描いてもらったほどのマンガ家があらゐけいいちである。彼の代表作「日常」で描かれるのは、不条理でハイスピードなギャグの連続だ。

時定高校に通う高校生たちと、その周囲の人たちの奇想天外な「日常」を描いた作品。登場人物のほぼ全員が、奇妙な発想の持ち主であるハイスピード・ギャグマンガ。

突飛な発想のギャグに紛れて、少しずつ登場人物たちの仲が深まっていくのが印象的なマンガだ。疲れた時に世間のルールから外れた「笑い」を味わいつつ、作中に現れる「やさしさ」が染みていく。

「日常」と銘打ちながら、いわゆる一般の日常的なことは一切起こらないギャグマンガである。そんな不条理な本作を貫く筋の一つが「人間になりたいロボットと、ロボットである彼女をありのまま受け入れる高校生たち」というもの。奇想天外なギャグマンガでありながら、「笑い」ではないメッセージを内包する。これこそまさにギャグの隙間に隠れているものなのだと思う。

作者のあらゐけいいちは最も有名な二人組のマンガ家である藤子不二雄の影響を強く受けている。そして星野源も公式に訴えかけ、自身がタイアップした曲のタイトルを「ドラえもん」にしたほどのファンである(※かつて「ドラえもん」というタイトルの別の曲があり、同じタイトルの曲をリリースするためにはいくつかのハードルがあった)。では藤子・F・不二雄の「ドラえもん」について見ていこう。

ドラえもん

星野 ギャグまんがは、すごく好きでしたね。でも、『ドラえもん』だけは別格で。

引用:ドラえもん公式サイト

星野源のインタビューより

ドラえもんは日本一有名なSFギャグマンガとして、日本のみならず世界で愛されている。それは藤子・F・不二雄が誰にでも愛されるように「ドラえもん」を作り上げたからだろう。軽く笑えて、誰が見ても面白い無難なマンガ、という印象の方も多いのではないだろうか。

しかしドラえもん」はそのギャグの隙間に、大人向けと言ってもいいほど重いテーマが詰め込まれている。それは秘密道具のコントロール不可による「テクノロジーの暴走」だったり、娘の結婚を控えた「親の心情」だったり、あるいは大切な人を守るために死を選ぶ「自己犠牲」だったりするのだ。

そして『ギャグ』に歌われた「救い」、その一つが「ドラえもん」にある。のび太やその仲間たちのように、あるいは落ちこぼれロボットであるドラえもんのように、「何者でもない普通の人でも、未来を変える大きな力を持つ」というメッセージが読み解ける。SFでありながら、普通の日常を過ごす僕たちへ向けて書かれた物語なのだ。

『ギャグ』に歌われた「本当の事」や「救い」を秘めたマンガとは、「日常」や「ドラえもん」のように「非日常の物語でありながら、僕らの生活に通ずるような日常や、人生を生きる上で力になるようなテーマ」を描いたものではないだろうか。

さて星野源が歌ったギャグマンガの形を確認したところで、それに通ずるマンガが無いか考えてみた。彼がこのマンガを読んだという発言は一切ないのだが、私はこの『ギャグ』を初めて聞いた時から、一つの作品が頭に浮かんでいた。

「日常」のあらゐけいいちと同じく藤子不二雄の影響を強く受けながら、日常の中にある「どうにもならない不条理」や「困難にまっすぐ立ち向かう人間の美しさ」、あるいは「歳月の移ろい」を描いた作品を紹介したい。

『ギャグ』から筆者が連想したマンガ

石黒正数の代表作「それでも町は廻っている」である。読めばわかるほどの「ドラえもん」を始めとした藤子不二雄両名からの影響。日常に紛れ込むSFを、軽快なギャグが包む。そして小気味好い笑いの隙間に描かれるのは、「死」や「止められない時の流れ」、あるいは「別れ」。人生において誰もが直面することを、自然にギャグマンガに取り入れている。

1話ごとの時系列がバラバラで、最終話まで全体を通してみた時にようやく大きな流れが分かるという実験的な構造だったり、それを感じさせない各話ごとの面白さだったり、その中で描こうとした何者でもない誰かの人生だったり。石黒正数はまさにギャグマンガで「本当の事」を描こうとした人だと思う。きっと星野源もこの作品を好きになるだろうな、という確信がある。

ぜひお時間があれば、読んでみてほしい(Amazon)。アニメで見られる方はU-NEXT、もしくはAmazon Prime(有料レンタル)まで。

それでは、またお会いしましょう。

星野源 Single Box『GRATITUDE』発売

 

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