【平成の底力】女子高生で頭角を現したシンガーソングライターを聴く

10代でデビューした歌姫たちを紹介。歌手として、クリエイターとして、早咲きの彼女たちが同世代や先輩に勝っている部分はなんだろうか。
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令和に吹き荒れる平成の風

こんな風に書くと、早くも現れた平成過激派のように思われてしまうかも。でも今活躍している人たちが背負っているのは生まれたての令和ではなく、良いことばかりじゃなかった平成だろう。ましてや10代で活躍しているとなれば、ゆとり世代として青春を、大人に小馬鹿にされながら過ごした人ばかりだ。

今回ご紹介する女子高生で頭角を現したシンガーソングライター達は、画一化を免れ、自分にしかたどり着けない場所へ到達している。平成を超えて、令和に響くその音を聴いてほしい。

沖縄の女子高生が刻むグルーヴィーなラップ

これはもうアメリカ人だ。いや、アメリカに生まれてもこんなことは出来ない。京都のバイオリンジャムバンド、Nabowaと「My Heartbeat (Belogs To You)」をリリースした2017年、山田なづは沖縄の高校生だった。2000年生まれ、両親の影響で洋楽に囲まれた環境に育った彼女は、今回紹介する他の歌手と同様に音楽活動の開始が早く、10歳ですでにライブハウスデビューを果たしている。

彼女が13歳の頃に出演した、貴重なオーディション映像を見てほしい。ステージ上で豹変する彼女は、既に歌手としての片鱗を十分なまでに見せつけている。恐らく帰国子女でもない中学生が、耳の良さだけでここまで英語らしく歌い、しかもそのリズム感によってグルーヴを生み出している。彼女は歌手になるべくして生まれてきたのだ。

2019/7/24に、1stEP『JUQCY』がリリースされる。これまでのfeaturing参加と違い、山田なづから歌手・Nazへの大きな一歩である。女子高生歌手という、鎧であり偏見を脱ぎ捨てた19歳の彼女の姿、目撃してほしい。

大阪女子が魅せることばのきらめき

まずは彼女の晴れやかに響く声に、耳を澄ませてみてほしい。サビの名フレーズを書いたとき、なんと弱冠15歳だった坂口有望(さかぐちあみ)。これは語彙でも知識でもなくて、透き通る感性が生みだした詞だ。誰にも負けないセンスを秘めた高校一年生は、地上波でも紹介されるなど、じわじわと話題になってきた。

あれから3年、メジャーデビューを果たし、少し大人になった18歳が、配信シングル「musician」を3月にリリース。世に出てきた頃のSHISHAMO(2017年に紅白に出場した3ピース・ガールズバンド)を思い出すような、フレッシュだけど的を射た歌。どこかで大きいタイアップがあれば、そのまま紅白まで出ちゃうんじゃないかと。今後が楽しみ。

60年代にタイムスリップ!?ブルース女子

1997年、ニューヨーク。4歳でクラシック・ギターを習い始めた彼女は本場でブルースに出会い、自身のルーツとして心血に刻み込む。17歳になった頃にソニー・ミュージックと契約し、メジャーへと進出した。Reiという名のシンガーソングライターが見据えるのは、世界。

まさかのTED(※)出演、ギターフレーズはさながら60年代のブルースだが、アコギの音にエフェクトをかける新しさもある。世界中に拡散される場でも物怖じせず、堂々とブルースを鳴らす黄色人種の女の子。こんな時代が来ると、B.B. KingやStevie Ray Vaughanは考えていただろうか。

TED:毎年大規模な講演会を行っている団体。様々な分野の人物が登壇し、プレゼンテーションを行うため、単なる音楽好き以外にも届く場と言える。

独自路線を突き進み、ブルースに染まったおじさん達を魅了するRei、もしかすると彼女に邦楽のシーンは小さすぎるのかもしれない。

震え声が表現する、ギリギリの自分

情けない大人になりたくない、けどどこにもいけない。引きちぎれそうな自分を、なんとか繋ぎ止めながら作ったような、切実な午前3時の独白。ギターを弾き始めて1年と半年でここまでの表現者に成長した17歳の奇才は、2019年に高校を卒業し、地元仙台から東京へ。

決してキャッチーではない、ポップでもない、女子という役回りを押し付けられる存在ではないだろう。だからこそこの声でしか、この言葉でなければ、伝わらない想いがあるんじゃないかと。

彼女が青春の最後にリリースした1st Album「現実直視」、鋭い言葉の中に在る小さな革命を目撃せよ。

おわりに

彼女たちの才能と対照的に平凡な言葉へ着地してしまうが、若者には無限の可能性がある。今後どうなっていくのか楽しみなアーティストばかりだ。

何度か応援していた無名音楽家が世間に認められていくのを目撃したけど、なかなかいいもんですよ。今ならまだ間に合うはず、一度彼女たちが待つライブハウスへと足を運んでみては?

それでは、また会場で会いましょう。

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