なぜ邦ロックはガラパゴス化したのか

世界で新しいロックスターが生まれなくなって、もう10年以上経っています。なぜロックは廃れたのか。それでも邦ロックが元気な理由とは?
スポンサーリンク

ロックが聴かれなくなった

ビルボード2017 Hot 100 Songs

世界一権威があるといわれるビルボードの去年のチャートです。ロックバンドがImagine Dragonsぐらいしかいないですよね。

Imagine Dragons – Believer

POPやEDM、HIPHOPに唯一対抗できたロックバンド。

フジロックのヘッドライナー

ロックに属すると思われるヘッドライナーを集めてみました。

  • 2018年:Bob Dylan
  • 2017年:なし
  • 2016年:Sigur Ros/Red Hot Chili Peppers
  • 2015年:FOO FIGHTERS/MUSE/NOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS
  • 2014年:FRANZ FERDINAND/ARCADE FIRE
  • 2013年:NINE INCH NAILS/CURE
  • 2012年:THE STONE ROSES/NOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS/RADIOHEAD

どう見ても高齢化してますよね。次世代を担えるロックバンドが育っていないのです。一番若いFRANZ FERDINANDでも2001年に結成のベテランです。ロックスターが生まれなくなっています。

新たなスターは他ジャンルから

Post Malone – Psycho ft. Ty Dolla $ign

ニュー・アルバム『ビアボングズ & ベントレーズ』が英米チャートで1位を獲得し、ドレイクが持っていたストリーミング記録も更新したポスト・マローンだが、同アルバム収録曲のうち9曲が「Billboard Hot 100」のトップ20内にチャートインし、ザ・ビートルズが持つ記録を更新したことがわかった。

引用:rockinon.com

現代のバカ売れ貴公子・ポスト・マローン。TOP20に9曲はいるってどうなってんの、という感じですよね。全米チャート2017年下半期で彼が1位を取ったアルバムのタイトルは、皮肉にも『Rockstar』でした。

元々バンドをやっていたという彼。HIPHOPへのリスペクトに欠ける発言(ex.泣きたいならHIPHOPじゃなくてBob Dylanを聴け)をしていて、どうも売れるための手段がRAPだったんじゃないかと思ってしまいます。

彼の存在がロックの終焉とHIPHOPの隆盛を象徴しているようです。

スポンサーリンク

ギブソン破産

世界一有名なギターメーカーであるギブソンが破産したことがニュースになっていました。

過去10年の北米におけるギターの市場動向。エレクトリックギターの販売数が減少するも、アコースティックギターは増加 - soundrope
米メディアDigital Music Newsが、大手楽器販売店Guitar Centerが公表した、北米におけるギターの年度別売上げデータを紹介。このデータによると、2008年から2017年のエレキギターの売上げ本数が …

エレキギターの売り上げは減少傾向にあります。

それだけバンドという形態で音楽をやることが少なくなってきているということなのではないでしょうか。

今バンドでやってる人たちは音楽オタクなので、ギブソンよりもマイナーでお値打ち感があったり、ハイエンドなギターを使っているのかな

ロックはなぜ廃れたのか

なぜロックは、新しいスターを生み出せなかったのか。そもそもなぜロックは聴かれていたのか。考えてみましょう。

ロック=反骨精神

ロックが聴かれていた理由のひとつに、「精神性」があります。俺は売れるために媚びたりしない。社会のタブーにも切り込んでいく…。そういうメッセージ性が、リスナーの心を揺らしてきました。

Sex Pistols/Jimi Hendrixs/Nirvanaなどなど、彼らの主張と切り離して語れないアーティストも多いです。(Queenなんかは政治色0がポリシー化していますが。)

しかし今、社会を揺らしているのは…

HIPHOPに奪われたメッセージ性

Childish Gambino – This Is America (Official Video)

本日、2018年5月19日のBillboardチャートで1位の曲です。アメリカの悲惨さを浮き彫りにしたこの曲は、Childish Gambinoによる銃殺と「This is America(これがアメリカさ)」というセリフから始まります。強烈なメッセージを孕んだ1曲は、アメリカ中を震撼させ、投稿から2週間の今日で13億回再生されています。

切実さが出せない

私見ですが、ロックにはHIPHOPほどの切実さは無いと思います。(嘘つきも多いですが)HIPHOPの多くのラッパーは、貧困の中から這い上がる手段として音楽を選択したという歴史を抱えています。

白人のキラキラした世界にあるロックと、黒人の貧しさの中から生まれたHIPHOP。ロックが腑抜けても、社会の闇を暴いてきたのがHIPHOPでした。しかもHIPHOPのトラックは単調なことが多いので、優れた意思伝達手段だと言えます。

メッセージ性という点で、HIPHOPほどの切実さをロックが持つことは、今のところ出来ていません。ロックはHIPHOPに殺されたのです。

消えていくロックスターたち

Soundgarden – Spoonman (Official Music VIdeo)

SoundgardenのC・コーネルやリンキン・パークのチェスターは、自殺しました。世界からロックスターが消えていきます。

明るくないロックの未来の中で、更新され続けているのが邦楽ロックの世界です。なぜなんでしょうか。理由を考えてみましょう。

ガラパゴス化している邦ロック

大陸ではロックという恐竜は滅びました。でもとある島では、その子孫であるコモドドラゴンが、生態系の頂点として繁栄していた。邦ロックってそんな感じでしょうか。

(※コモドドラゴンは世界最大のトカゲ、見た目は恐竜寄り)

①クラブカルチャーが根付いていない

先ほどのビルボードチャートってクラブミュージックが多かったですよね。アメリカ人が飲み会の後にちょっと踊りに行こうか、とクラブへ通っている証拠だと思います。

それって日本だとあまりない光景ですよね。バブルの崩壊とともに「踊る」という文化も薄れてしまったんじゃないでしょうか。だとしたらそもそも音楽を聴くという行為が、世界と日本で違っているのかな、という気がします。

みなさんはどういう場面で音楽を聴いているのでしょうか。クラブで聴いてらっしゃる方は相当な音楽好きだけなんじゃないかと思います。

クラブで音楽を聴くという行為が一般化しているのが、今のアメリカなんじゃないかと、だとしたらロックの未来は明るくないですね。

②レコード会社の権力が強い

知らない邦ロックを耳にする場面って、タイアップが多くないですか?少年マンガのことしかわからないんですけど、「NARUTO」とか「BLEACH」とかも音楽は邦ロックでした。青春のサンボマスター。いきものがかりもアニメのEDで初めて知りました。

僕らの耳はレコード会社によって、勝手に邦ロックを受容するように改造されているのかもしれません。幼少期に聴いた曲って、誰しも影響を受けますよね。日常に邦ロックが溢れているのです。

なぜレコード会社はロックを推すのか

じゃあなぜ邦ロックなのか。日本ではクラブミュージックを推しても、文化が無いから収益が上がりません。しかしフェス文化は根付いていて、最近のアーティストは巨大な夏フェスで収益を上げています。

しっかりしたビジネスモデルが出来ているからこそ、ロックは推されているのです。この点はアイドルと同じですね。

③洋楽を広めるメディアの不在

邦ロックにはロッキングオンをはじめとする様々なメディアがありますよね。

ロキノン系とかいって小馬鹿にしてますけど、影響力はかなりのものでした。でも洋楽を紹介するメディアで、その規模のものってないですよね。

ポスト・マローンの記録的な注目も、日本では音楽好きしかしりません。そもそも情報を拡散する人がいない、というのも日本が世界のチャートと距離を置いている一因なのではないでしょうか。

④ロックの精神性が消え去った

ロックと言えば、社会のタブーに切り込んでいく音楽でした。忌野清志郎やTHE BLUE HEARTSはその精神まで引き継いでいました。そしてリスナーは「よく言ってくれた!」と彼らを聴きこんだのです。

タイマーズ タイマーズのテーマ ~ 偽善者

(広島のチャリティーコンサートに勝手に行ったタイマーズは「偽善者」を飛び入りで演奏しました。批判を恐れぬロックのスタンス。)

しかしメジャーシーンからロックの政治性は消えてしまったように思います。それがよくわかる一昨年の事件についてご紹介します。

「音楽に政治を持ち込むな」とフジロックが炎上

2016年のフジロック、政治団体SEALDsのメンバーの出演が発表されると批判が殺到しました。「#音楽に政治を持ち込むなよ」というタグをTwitterで検索されると、その盛り上がりがわかるでしょう。

フジロックはこれまでも様々な主張が発信される場だったと、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチが発言し、擁護派と批判派での大論戦に発展しました。(フジロックは毎年、脱原発イベントをやっている)

日本で売れるために、メッセージ性は必要ない

少しでもメジャーシーンに政治色があったら、ここまで揉めることも無かったんじゃないでしょうか。逆に言えば日本にとって音楽とはエンタメであり、だからこそ邦ロックはHIPHOPに取って代わられなかったといえるでしょう。HIPHOPの最大の長所であるメッセージ性が、日本のメジャーシーンでは役に立たないのです。

おわりに

この他にも様々な論点から、なぜロックは廃れ邦ロックは栄えているのか、論じることが出来ると思います。

もしよかったらあなたの考えを下のコメント欄に記入していってください。様々な方向から、この問題について考えてみたいのです。

よろしくお願いします。それでは。

コメント

  1. ^_^ より:

    クラブ文化とフェス文化ってのはあるのかもしれませんね。

    それと思い当たるのは日本は不景気やそれに伴う鬱屈とした空気はあちらで鬱ラップが流行るより10年、20年進んでた代わりに政治や文化全般的に変化を恐れる文化なのでマーケットの保守性もあるかもしれない。

    ポストマローンは元々ボブディランのカバー動画で火がついた部分もあり、ブルースギタリストとしても実は有能です。ロックスターなんて曲を書いたのも本当はロック好きだからでしょう。歌詞の中にボンスコットと言ってる箇所があります。売れるためにラップにシフトしたのは間違いありませんね。(なのにラッパーらしく顔に刺青しちゃうとこが笑えます)

    ただ、メッセージ性がそんなにヒップホップにあるかといえば最近のトラップに関しては微妙で、エモラップと呼ばれるエモ系ロックの血を引いたトラップ系ヒップホップくらいでしょう。ガンビーノのこれは確かに政治的ですが、過去のラップのパロディ半分か、残念ながらストリップクラブがお似合いなチャラチャラした陽キャのくだらない歌詞も増えてます。

    ロックでいうガンズとかモトリーみたいな感じ。いや、音楽自体は好きなんだけどもヤクやって派手なチャンネーとハメハメ、みたいな歌詞がラップで増えてるのはげんなりします。

    それでも以前に比べて少しナードっぽくなってるとは思いますし、言い換えるとラップが新しいロックとも言えます。

    カニエやファレル、M.I.A.が00年代に蒔いた草食系ヒップホップの種が芽を出した形でもあるし、もう一つは10年代頭から先に新しいロックのサブジャンル的なムーブメントが生まれてない辺りで追い越されたのもあるでしょう。

    00年代にUKでガレージやニューウェーブのリバイバルが起こり、同時期にUSでエモが流行ってその数年後にNYのブルックリンや西海岸のアートスペースを中心にカフェで働いてそうなヒップスターが喜ぶようなインディロックが流行りました(ここではアゲアゲなEDMではない文系エレクトロもロックと見なします。リア充爆発しろ)が、この世代がアラサーを迎え次のZ世代がポップミュージックのメイン顧客になる2015年辺りを境に尻すぼみになったと思います。そこからバンドミュージックとしてのロックは更新されてません。

    先程上記したような草食ラッパーがメキメキと肩代わりを始めた感じがありますね。

    その辺りでデスグリップスみたいな半ばロックと呼んでも差し支えないアーティスティックなラップがグンと売り上げを伸ばしてます。そして今そのさらに次の世代が来てるのでもう固着した現象でしょう。

    自分も元々バンドをやってて今こういうナードなヒップホップ現象を追っかけてますがヒップホップという名のロックが「過去の2パックとかのゲットーギャングスタ的な価値観とは異なる」形で頭角を現し繁栄してゆくのは間違いないと見てます。

    ジャンルとしてのロックンロールはジャズやブルースと同じくなりやがてクラシックになるわけです。無論ヒップホップの次が出てくればヒップホップも同じ道を行くでしょう。

    とりあえず言いたかったのはエモラップってロックの進化系なんじゃないの?って話でした。

タイトルとURLをコピーしました