誰もが知る名曲「TRAIN-TRAIN」その歌詞を細かく解釈してみることにしました。
TRAIN-TRAINの背景
TRAIN-TRAINの作詞作曲はTHE BLUE HEARTSのギタリスト・マーシーです。全体を通してピアノが入っているのは、この曲が初めてでした。
ヒロトとマーシー、二人の歌詞がどのように違うかは、先日の記事に書きました。それでは『TRAIN-TRAIN』の歌詞を見ていきましょう。
夢を追いかける列車
栄光に向かって走る あの列車に乗って行こう
はだしのままで飛び出して あの列車に乗って行こう引用:TRAIN-TRAIN/作詞作曲:真島昌利
この曲を聴く上で解き明かさなければならないことの一つが、列車が何を表す例えなのかということです。
生き馬の目を抜く音楽業界を表すのだと思います。限られた数の人しか乗車出来ない列車と、一握りの才能だけが花開く音楽の世界が重ねられていると考えれば、スムーズに比喩が繋がりますよね。
この比喩は音楽業界の外にも広げられます。多くの夢追い人の中で、夢を掴めるのは一握りです。目的を持って行動する全ての人に当てはまります。
この例えの中で「夢を諦める」ことが、「列車を降りる」ということなのです。
苦しみを歌に
弱い者達が夕暮れ さらに弱い者をたたく
その音が響きわたれば ブルースは加速していく引用:TRAIN-TRAIN/作詞作曲:真島昌利
ここも音楽業界に当てはめて考えるとわかりやすいです。売れないミュージシャンの間にも上下関係はありますし、下の者たちが受ける苦しみもあることでしょう。ミュージシャンたちはそれすら創作の力に変えて、前へと進んでいくのです。
ブルースは差別を受けていた黒人たちが、日々の辛さや寂しさを歌う音楽ジャンルです。当時も今も社会的弱者である黒人たちの姿を、売れないミュージシャンに重ねて借用しているのです。
この短い一節のリアリティや、夢の裏側に垣間見える哀愁。彼なりのブルースなのです。
そしてブルースはハードロックへと姿を変え、世界を席巻しました。加速していくブルースに、音楽で世界を変えてやるという想いが託されているのです。
民衆の先導者
見えない自由がほしくて
見えない銃を撃ちまくる
本当の声を聞かせておくれよ引用:TRAIN-TRAIN/作詞作曲:真島昌利
ここもサラッと流して聴いてしまえる、収まりの良いフレーズですよね。しかし「見えない自由」とは?「見えない銃」とは?
「見えない自由」は、「自由が何かもわからないのに、それを求めて駆け出してしまうあの感じ」を表しているのでしょう。青春ですよね。
「見えない銃」は、「言葉」なんじゃないでしょうか。特にこの時期のブルーハーツの歌詞は社会批判的な過激なものだったので、納得のいく比喩です。
そして三行目で、唐突に僕らに語り掛けてくるのです。「俺らは自由が何かもよくわからずに、言葉を吐き出しまくってるぜ。君らはどうなんだい。何か言いたいことが有るんじゃないのかい」と。
二者択一の現実
ここは天国じゃないんだかと言って 地獄でもない
いい奴ばかりじゃないけど 悪い奴ばかりでもない
ロマンチックな星空に あなたを抱きしめていたい
南風に吹かれながら シュールな夢を見ていたい引用:TRAIN-TRAIN/作詞作曲:真島昌利
前半二行は世の中について、綴っています。現状についてではなく、その可能性に注目している一節です。この世は天国にも地獄にもなり得るんだということなのでしょう。
そして後半二行は願望なのです。こんな世の中だったらいいのにな…という想いです。この後には先ほどの「見えない自由が~」のフレーズが来ます。みんなで世の中を変えてやろうぜ!というニュアンスになってきますね。
変わったサビ
TRAIN-TRAIN 走って行け
TRAIN-TRAIN どこまでも引用:TRAIN-TRAIN/作詞作曲:真島昌利
このサビのフレーズ。ライブでもCDでも「走って行く」と歌われています。「行け」と「行く」だと全く意味が違いますよね。
世の中を変えるという想いや売れてやるぞ!という熱意が伝わるのは、「走って行く」の方です。
命を大事に
世界中にさだめられた どんな記念日なんかより
あなたが生きている今日は どんなにすばらしいだろう
世界中に建てられてる どんな記念碑なんかより
あなたが生きている今日は どんなに意味があるだろう引用:TRAIN-TRAIN/作詞作曲:真島昌利
ただ生きているということを全肯定してくれる1節です。ここだけは誰にでも伝わるわかりやすい言葉で書かれています。命をマーシーがどれだけ大切に考えていたかわかりますね。
聖者じゃなくていい
栄光に向かって走る あの列車に乗って行こう
はだしのままで飛び出して あの列車に乗って行こう
土砂降りの痛みのなかを 傘もささず走っていく
いやらしさも汚ならしさも むきだしにして走ってく
聖者になんてなれないよ だけど生きてる方がいい
だから僕は歌うんだよ 精一杯でかい声で引用:TRAIN-TRAIN/作詞作曲:真島昌利
ここで描かれるのは、カッコ悪いヒーローの姿。ブルーハーツそのものを歌ったようなラストのAメロです。同時に、僕たちの後ろめたさや不安をも包み込んでくれます。聖者になれなくたって、ダメな自分がいたって、それでも生きていこうぜと。
おわりに
名曲「TRAIN-TRAIN」を解釈してきました。この歌詞の良さは、リアルタイムじゃなかった僕たちの世代にも伝わっています。
世界がブルーハーツによって良くなったかはわからないけど、こうして影響を与え続ける名曲なのです。そして彼らは形を変え、今も活動を続けています。世の中が少しでも良くなりますように。それでは。
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コメント
https://www.youtube.com/watch?v=_hVaRiOPZLE
この動画で”どんなお正月なんかより”って歌ってるのはなぜですか?