BUMP OF CHICKENに影響を受けたバンド、わかりやすい

BUMP OF CHICKENをリスペクトしているバンドは数多い。曲を聴けばわかるほど、強く影響が表れている。今回はRADWIMPSや米津玄師以上に、BUMPの影響を感じられるバンド・アーティストを紹介したい。
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BUMPは影響力が強い

驚くほどシンプルでストレートな曲とストーリーのある歌詞。しかしRADWIMPSや銀杏BOYZのような赤裸々さは無い。そこにあるのは自己の内面と見つめあう前向きさだ。

その独自性はフォロワーが増えると共に薄れていったが、当時こんなバンドは珍しかった。これがBUMP OF CHIKENに影響を受けたバンドが多い理由だろう。

『天体観測』がリリースされた2002年は、NUMBER GIRLが解散した年であり、Hi-STANDARDやBLANKEY JET CITYはすでに解散していた、その後を追うようにGOING STEADYもTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTも2003年に解散している(※全て現在に至るまで強い影響力を持つ邦ロックバンド)。

時代は次のロックの寵児を探していた。

2000年代前半に青春時代を過ごしたバンドマンの多くが、BUMP OF CHICKENと出会い、強い衝撃を受けた。そしてその時与えたインパクトが、大人になっても効いているのだ。いくつかご紹介していく。

LAMP IN TERRAN「キャラバン」

歌詞やリードギターのフレージングに強い影響を感じる。「魔法」「光」はBUMPの頻出ワードである。

作詞作曲の松本大(Gt./Vo.)はBUMP OF CHIKENからの影響を公言している。彼らが初めて作った音源は「voyage」というEPで、思えば「voyage」も「キャラバン」も、そして「LAMP」までもがBUMP OF CHIKENの曲タイトルだ。

大屋真太郎(Gt.)が人生で初めて行ったライブが、松本に誘われたBUMP OF CHIKEN『orbital period』リリースツアーだった。そしてこのアルバムの1曲目こそ「voyage」である。更に言えば「LAMP」はBUMPの1stシングルであり、リスペクトっぷりが伺える。

The Floor「革命を鳴らせ」

最初は似てないと思うかもしれない。どちらかというとflumpoolあたりに近い歌い方だ、しかしサビまで聴いてほしい。急に歌メロがBUMPに接近してくる。永田涼司(Gt.)はTwitterで彼らへのリスペクトを語っているし、影響を受けていることは間違いなさそうだ。

The Floorは今年2月にメジャーデビューしたばかりの若いバンド、結成から20年以上たった今もBUMP OF CHICKENは影響を与え続けているのだ。

NOVELS 「ミッシングリンク」

明らかに藤原基央に影響を受けた歌い方で、そのルーツがわかりやすい。これは単に声が似てるとかそういう次元じゃない。しかし曲調には凛として時雨などのポストロック勢の影響も見られるので、2000年代前半の音楽シーンが育んだハイブリッド・バンドと言えるだろう。メンバーがリスペクトを語ったこともある。

BUMPをリスペクトする他の多くのバンドと同様に、似ているのは初期だけであり、最近はまた違う路線の曲をリリースしている。

KITAKEN「星団歩行」

BUMP OF CHIKENが与えた影響を語る上で外せない人物、KITAKEN。研究を重ねた結果、藤原基央になってしまった男。なぜかR-18のゲームのオープニング曲に、限りなくBUMPに近づけた新曲「星団歩行」を提供し、脱法BUMPとして名を馳せた。オーイェー的なのもランラーララーラー的なのも入れてないのに、ルーツが分かるのがヤバい。

YouTubeの公式アカウントでは、その研究の成果を発表している。これは自分で録音したBUMPの名曲「スノースマイル」。途中で入ってくるエレキギターが、あまりにも増川(BUMPのギター)の音に似すぎている。ストイックに研究を重ねてきたようだ。先ほどのThe Floorにも通じるところだが、BUMPらしいメロディーの作り方があるということを証明した。

関学のBUMP

アメフトで話題になった関西学院大学のBUMP OF CHIKENコピーバンド。ギターの音とヴォーカルの声が似すぎている。余りにもすごすぎて、今年の春ぐらいにYouTubeで「BUMP OF CHICKEN」を検索すると、本家を差し置いてトップに表示されていた。コピーバンドの最高峰だろう。

興味深いのは、全然関係のないハナレグミをカバーしても藤原基央になっているところ。こういうところから次世代のBUMPフォロワーが登場してくるものだ。本人は自分が藤原基央っぽくなっていることに気付いていないだろう。

ボーカルの方は現在、3ピースバンド・ベルマインツのボーカルとして音楽活動を続けている。

米津玄師、RADWIMPS

BUMP OF CHIKENへの大リスペクトを表明していることで有名なのが、米津玄師とRADWIMPSだ。

中央左がRADWIMPS 野田洋次郎、右が米津玄師。兄弟かってぐらい似てる

しかしそのリスペクトの声ほどには、彼らの音楽性はBUMP OF CHICKENに近くない。野田洋次郎がBUMP OF CHIKENの熱心なリスナーだった頃、BUMPは8ビート主体のストレートなロックをやっていた。そしてRADWIMPSの音楽性はこちら。

16ビート主体の細かいメロディに、性欲までさらけ出し相手にすがりつく歌詞、レゲエ由来のラップ。ファンクとレゲエの要素が混じったような不思議な音楽性は、野田洋次郎以外のメンバーが音大・専門学校で教育を受けていたことが関係しているだろう。洋次郎が作った曲を有能な3人のアレンジャーが編曲している状態なのだ。

米津玄師はバンドサウンドに囚われてすらいない。2009年にはエレクトロニカに近い曲が発表されている。2014年に初音ミクとコラボしてから電子音楽的なアプローチを試し始めたBUMPは、むしろ後追いになっていると言えるだろう。

リスペクトの公言と独自性

彼らがなぜBUMPフォロワーとして存在感を発揮しているのか。それはリスペクトを他のバンドよりも公言しやすい立場にいるからだろう。もちろん知名度もあるけど、独自性が彼らにはある。

Base Ball BearというバンドのヴォーカルはNUMBER GIRLに強い影響を受けた1stアルバム発表後、「NUMBER GIRLのパクリ」と叩くネットの声に恐怖を覚え、インタビューで一切その名を口に出来なくなったという。

その後彼らが独自の音楽性を獲得するにつれ、自分のルーツと向き合えるようになり、今ではライブでNUMBER GIRLのカバーを披露するまでになった。リスペクトの公言にはリスクが付きまとい、知名度が低いバンドほど「パクリ」という誹謗中傷を受ける危険がある。

次に引用したのは17歳の米津玄師のエピソードだ。

パソコンの新調を機にDTMを始め、「ハチ」という名義で約30曲程度の本人歌唱のオリジナル曲をニコニコ動画などに投稿したが、しばらくの後全て削除した。理由として「自分が影響を受けたものの色がものすごく濃く出ていた。」「聴くと納得がいかないことが多くてすごく恥ずかしくなってきた。」などを挙げている。

引用:Wikipedia

自分が影響を受けたものの色が出ることを、時としてアーティストは良しとしない。

しかし音楽に突然変異なんてない。ベテランと若手がお互いに影響を与え合って新しい音楽が生まれていく。「パクリ」だなんだと騒いでいる人は音楽を分かっていない。似ていることは、新しい音楽が生まれる「可能性」があるということなのだ。

ストーリー性のある歌詞

BUMPの最大の特徴はストーリー性のある寓話的な歌詞だが、単にそれだけでBUMPのフォロワーとみなすのは無理がある。しかしBUMPと同時代に、ストーリー仕立ての歌詞を書くバンドはいた。近い音楽性のバンドで、ひとつのシーンを作っていたことは間違いないだろう。

藍坊主「テールランプ」

例えば小田原出身で2004年にデビューした藍坊主の「テールランプ」は、その歌詞がストーリー仕立てになっている。BUMPの「K」を思い出す様な曲だが、同世代のバンドであり、影響は語っていない。

tacica「人鳥哀歌」

某ショップで「北のバンプ」と宣伝された北海道発の3ピースバンド・tacicaもBUMP的な歌詞を書いたバンドとして知られている。2000年代のバンドなので、近すぎて影響を語りにくいだろうが、気配は感じる。

ちなみに某サイトで解説されていたYouTubeのMETAタグ(投稿者がどの検索ワードで動画を表示させたいか書く欄)を眺めてみると”バンプ””ラッドウィンプス””セカオワ””チャットモンチー”と書いてあった。少なくともバンドのマネージャーは意識してそう。奥さんのバンドの名前も書くのか(tacicaの猪狩とチャットのえっちゃんは夫婦)。

おわりに

小さいながらも歌詞重視の音楽シーンがあったからこそ、その初期から頑張ってきた重要バンドとしてBUMP OF CHICKENが強い影響力を持ってきたのではないだろうか。近年「文学ロック」などと言われているバンドも、このシーンが無ければ生まれ得なかっただろう。

同世代のバンドたちが彼らに続き、その音楽性に共鳴したからこそ、現在BUMPの影響下にたくさんのバンドがいるのだ。つまりBUMP OF CHICKENは自分たちを中心とした一つの音楽シーンに、同時代のバンドを巻き込んでいったのだ。

8ビート主体だったBUMPも、バンドサウンドに囚われず、より複雑な曲を発表するようになってきた。この大御所バンドの変化が邦楽のシーンに影響力を持って表れてくるのは、5年後か10年後か。BUMPを頂点としたシーンがどのように移り変わっていくのか今後も追っていきたい。それでは。

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追記:Galileo GalileiによるBUMPカバー

2022年に活動を再開したバンド・Galileo Galilei。2008年に10代限定のロックフェスでグランプリを受賞し、メジャーデビューを果たした彼らが「音楽を始めたきっかけになったバンド」として敬意を示すのがBUMP OF CHICKENだ。上記の動画では5曲のカバー演奏をあげているのだが、選曲からBUMPへの愛を感じるのと、ほぼ原曲に忠実に演奏されていることからも、尊敬の念が伝わってくる。

コメント

  1. boc12 より:

    BUMPの雰囲気を感じるバンド探してたのでありがたいです

  2. Kaz Sakamoto より:

    誤字脱字が多すぎる

  3. kk より:

    関学のバンドは純粋に上手いですね。
    何を歌っても藤原基央とは書かれていますが、BUMP OF CHICKEN ファンからすれば別に似てはないです。たしかに声を荒くするという点では同じですが、藤原基央のそれとは違いますしね。

    ただひたすら、藤原基央以外の声で歌ってるのに聴かせちゃう歌唱力がすごいです…特徴的なボーカルのカバーってなかなかできないと思うので…

  4. かんち より:

    藤原が影響受けたsyrup16gもぜひにピックアップしてほしいです~✨

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