SAKEROCKのフォロワー、マジで1組もいない件

星野源がリーダーを務めたバンドSAKEROCK。邦楽インスト(歌無し)の話題になれば、必ず名前が挙がるほど有名なバンドです。

しかしSAKEROCKは音楽性の点では、今も昔も孤高で有り続けています。

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SAKEROCKに影響を受けたバンドがいない

今では邦楽に欠かせない存在になった星野源 、ハマケン(在日ファンク)、伊東大地(グッドラックヘイワ)が所属したバンドです。

自由が森学園高校出身の5人で活動を開始したSAKEROCK。

2002年に野村卓史(グッドラックヘイワ)、2011年にベース・田中馨(トクマルシューゴのバンドやハナレグミのサポートで知られる)が脱退しました。

3人になったSAKEROCKはそれぞれの活動が忙しくなってしまったために、解散したのでした。

そんな人気者たちが生み出したサウンドは、宴会のような楽しさもあり、木枯らしのような哀愁もある不思議なものでした。

色々と当たってみましたが、彼らに影響を受けたバンドというのは出てきませんでした。なぜなら邦インストにはテンプレートが蔓延しているからです。

記事の前半では邦インストの諸相を、後半ではSAKEROCKのルーツや特徴を書いていきたいと思います。

テンプレ化する邦インスト

邦楽のインストゥルメンタルで管楽器が入っているバンドは、大抵の場合2つの方向性に分けられます。

ダンスミュージックに特化したものと、フュージョンの流れを組むものです。

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それぞれ代表的なバンドを聴いてみましょう。

ダンスミュージックに特化した邦インスト

NEWS ZEROのBGMに起用されたバンド・JABBERLOOP

「イナズマ」という曲です。非常にノりやすいビートが使われていることが分かるかと思います。このように踊れる音楽を演奏する邦インストバンドは数多くあります。

日本にはフェス文化が根付いていて、ロックバンドでも四つ打ちだったりしますよね。四つ打ちダンスビートがジャズやファンクと合わさって出来た曲は、インストでは定番なのです。

東京スカパラダイスオーケストラ・カルメラ・SOIL&”PIMP”SESSIONS・PE’Z(プログレッシブな展開もある)・渋さ知らズや、管楽器はいないですがtoconomaもダンスミュージックだと思います。

このあたりの音楽をクラブジャズと呼ぶこともあります。クラブで流せるような踊れるジャズということなのでしょう。SAKEROCKにも踊れる曲は有りますが、ドラム×マリンバの複雑なリズムが多く、クラブジャズとは距離を置いています。

ジャズの流れを汲むインスト

なぜかファミリーマートの店内ラジオで流れるDIMENSION

もう一つの流れはジャズとロックが融合したフュージョンに分類されるアーティストたちです。

武道館でライブをしたT-SQUARE・CASIOPEA・高中正義が有名です。どのバンドも超絶技巧のソロがあることが特徴的で、インストを有名にするとともに、その敷居を高くしてしまった気がします。

SAKEROCKには難易度の高いソロをしてやろう、みたいなテンションは無いと思います。どちらかというと技巧よりも味を追求していますよね。

このように2つのパターンから距離を置いているからこそ、SAKEROCKは特異なのです。彼らに限らず管楽器が入っているインストで、クラブジャズとフュージョンに分類されないものは、独自路線を突き進んでいると言えるでしょう。

ではSAKEROCKのルーツは何なのでしょうか?

SAKEROCKのルーツ

星野源はハナ肇とクレージーキャッツをインストでやろう!と思ってSAKEROCKを組んだそうです。

50代以上なら知らない人はいないんじゃないでしょうか。「スーダラ節」が特に有名で、星野源はソロでもSAKEROCKでもカバーしています。

この緩さと管楽器の融合は明らかにSAKEROCKのサウンドに影響を与えていますよね。ミュージシャンでありながらコメディアンであった彼ら、メンバーの俳優業が忙しくなって解散したところはSAKEROCKとそっくりです。

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星野源は『LIFE』という番組でコント芸人としても活躍していますから、その影響は計り知れません。SAKEROCKは現代の特異点ですが、歴史から見ればクレージーキャッツの子孫なのです!

詩をつけていた

また星野源はSAKEROCKで曲を書くとき、メロディーに詩をつけてメンバーに渡していたようです。

ハマケンのトロンボーンに置き換わるので、そのメッセージは僕らにはわかりませんが、①感情を込めてメロディーを吹ける②歌っても違和感のないメロディーが出来る、という2点のメリットがあります。

これもクレージーキャッツをインストでやろう!という初心があったからこそ、生まれた作曲方法なのではないでしょうか。SAKEROCKが他のバンドと違うところが、曲作りにも表れています。

編成が特殊

星野源はマーティン・デニーのヒット曲「Firecracker」を細野晴臣がカバーした際に、彼自身がマリンバを叩く姿を写真で見て憧れたそうです。

それで頑張ってお金を貯めて、マリンバを始めたそうです。大きい楽器だから高そうです。

めちゃくちゃ上手ですよね。音楽室の木琴は本気を出せばここまで出来るんですね…。

そこに技巧に走らず、ニュアンスを大切にするハマケンのトロンボーンが乗っかることで、特異な音楽が生まれています。

自由の森学園高校出身

SAKEROCKのメンバーは全員が自由の森学園高校出身です。定期テストが無いなどの自由な校風で知られる私立高校で、多くの俳優やミュージシャンを生み出しています。

高校の先輩にハナレグミがいたそうで、SAKEROCKでコラボしています。優れた才能を持つ人たちが集まる場所だったからこそ、このバンドは生まれたのでしょう。

レーベルはカクバリズム

SAKEROCKの所属レーベルは、インディーズのカクバリズムです。ceroが在籍していることで知られています。元々このレーベルはYOUR SONG IS GOODというバンドのためのレーベルでした。

ポストハードコアやポストロックをいったん通り、結果的に今の音楽になったという彼ら、SAKEROCK並に特殊な音楽性の7人組です。踊れる変拍子という感じの曲を書いています。

そもそもYOUR SONG IS GOODを始祖とするレーベルだったからこそ、伸び伸びと周りに口を出されずに音楽を作れたことも、SAKEROCKの特異性を支えていたのではないでしょうか。

おわりに

SAKEROCKの特異性について色々な面から書いてきました。

とても魅力的なバンドですが、個性が強すぎてSAKEROCKのエッセンスを取り入れるとSAKEROCKになってしまいそうですよね。

20年後に、孤高の存在であり続けたバンドの名盤として、彼らの音楽が紹介されている未来が見えます…。これからも評価され続けるであろうすごい音楽です。

今はそれぞれが忙しそうですが、もし余裕が出来てきたら復活しないかな…と思ったりしています。それぞれが新たな経験を積んで再集結、最高ですよね。見たいです。

でも無いかな…活躍し過ぎだもんなそれぞれ…。僕たちはSAKEROCK不在のまま、次の年号へ突入しようとしているんですね…。

それでは、またお会いしましょう。

コメント

  1. 青い沼 より:

    サケロックの音楽すごく面白いです。
    星野源さんのファンになってサケロックも聞くようになったのですが、サケロックは既に解散しているので二度とライブが見られないのかと思うと残念です。
    お金があったら映画館借り切って人呼んでシアターライブとかさせてもらいたいくらいです。
    記事をまとめて頂きありがとうございました。まだまだサケロックのことは知らないことばかりですが、これからも楽しんでいきたいと思います^_^

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