RADWIMPS 3〜無人島に持っていき忘れた一枚〜
メジャーデビュー後初のアルバムであり、「25コ目の染色体」「へっくしゅん」「イーディーピー 〜飛んで火に入る夏の君〜」がシングルカットされている。上記以外のアルバム曲に「セプテンバーさん」「トレモロ」と言ったライブ定番曲がいくつも収録されている。「閉じた光」「蛍」「最大公約数」「最後の歌」などの聴かせる曲も多い。
1位 セプテンバーさん
シンプルながらも印象的なフレーズで幕を開ける「セプテンバーさん」は、2005年9月3日のRADWIMPS初のワンマンライブで発表されて以来、ライブで盛り上がる曲となってきた(タイトルも9月3日から取られている)。胸をチクリと刺す夏の終わりのノスタルジー。
2位 トレモロ
2006年のアルバム曲ながら、抜群の知名度を誇る。ある意味最も「RADWIMPSらしくない」楽曲ではないだろうか。他の楽曲にあまり見られないシンプルさが王道のロックを作り上げ、美しい歌詞が星空を彩る。
3位 揶揄
バンドメンバーの3/4が音大や専門学校に通っていたというRADWIMPSの高い演奏力が発揮された楽曲。ムーディーなジャズの文脈を独自のどこか「なまった」ようなラップに組み合わせるという試み。様々なジャンルのエッセンスを取り入れ、自分たちの音楽に昇華してきた彼らの姿勢が初めて見えた一曲。
RADWIMPS 4 ~おかずのごはん~
メジャーデビューから約1年、RADWIMPS中期とも呼ぶべきこのアルバムには「ふたりごと」「有心論」そして「いいんですか?」という、個性が詰め込まれた代名詞的な曲が多数収録されている。
1位 遠恋
静かな夜の情景を作り上げるイントロと、女言葉で歌う洋次郎が印象的な楽曲。まさかサビでゴリゴリのギターが挿入されるとは、初見では思うまい。ミュージシャンの腕の見せ場ともいうべきソロ回しが、楽曲に入っているというRADWIMPSでは珍しい1曲。
2位 ギミギミック
レゲエ風のラップに乗せられる自己否定や、開放弦(※)を多用した緻密なギターのメロディ。打楽器的なベースのスラップは、「ギミギミック」がメロディではなく、リズムを主として作られた楽曲であることを知らせる。独自の人間観とテクニカルな楽曲は「おしゃかしゃま」前夜というべきか、RADWIMPSここにありという一曲。
3位 me me she
「めめしい」と読むタイトル通り、君への女々しいまでの強い想いを歌っている。相手「she」のことよりも自分「me」のことを2倍考えてしまうと、自己嫌悪のメッセージ含むタイトル。先輩である銀杏BOYZに続き、日本に「情けないロック」とでもいうべき、私小説的な歌詞を根付かせてきたRADWIMPSの詞世界が表れた一曲。2006年にリリースされた本曲が、back numberやクリープハイプらの「リアルな恋愛模様」を描いた楽曲が流行する土壌を作り上げてきたのだと考えられる。
アルトコロニーの定理
RADWIMPS大躍進のきっかけとなった5thAlbum。代表曲「おしゃかしゃま」が収録されている。本アルバムに収録の「オーダーメイド」でRADWIMPSは初めてオリコン1位を獲得した。
1位 七ノ歌
ゴスペルの影響が見られる壮大な歌い出し。洋二郎によるハイトーンの英語歌唱と、ほとんど喋り言葉で書かれたレゲエの影響が見られるラップが交互に現れる非常にRADWIMPSらしさのある楽曲。いろいろと寄り道しながらも、英語ではストレートに相手への想いを伝えているところも良い。桑原彰の泣きのギターにもぜひ注目していただきたい。
2位 One man live
ストイックさを感じる緻密なリズムが生み出す疾走感は、地球を光の速さで伝っていく洋次郎の歌をイメージさせる。残響強めの歌は、タイトル通りライブで聴いているような感覚に。前へ前へと踏み出していくような各パートの前のめり感や、曲中で歌われる肯定的な歌詞が、聴く者に元気を与える一曲。
3位 叫べ
印象的なサビのフレーズで歌われるのは、野田洋次郎が「こう思えたら幸せだな」と思う人生の捉え方。ポジティブな人生観を支えるのは、RADWIMPSらしからぬストレートなロックの音だったりする。解散の危機に瀕していた彼らが、スランプを抜けて作り上げた一曲。
おわりに
今回時系列順にご紹介した楽曲を聴いていくと、RADWIMPSがどのように変わっていって、それが今につながっているかが分かるのではないだろうか。特「無人島」と「おかずのごはん」は、同じ2006年に出されたアルバムながら、大きな違いがあったように思える。これがメジャーデビューがバンドに与える影響か。
RADWIMPSは変化を繰り返してきたバンドだ。2011年にリリースされた「狭心症」は歌詞も映像も、あらゆる表現が新しく、そしてRADWIMPS史上最もショッキングなものだった。
2016年の「前前前世」では映画『君の名は。』への楽曲提供で音楽好き以外からの人気を勝ち取ったRADWIMPS。この2曲を比べるだけでも、同じバンドの曲とは思えないほど大きな違いがある。こういった変化の道中で、これまで紹介したような素晴らしい楽曲が産み落とされてきた。
最新アルバム『ANTI ANTI GENERATION』でも、彼らの新たな試みが多くみられる。これまでになかったゲストミュージシャンたちの参加(あいみょんやONE OK ROCKのTAKA等が参加)や、本場・アメリカの流行を踏まえたトラップを使ったHIPHOP風の楽曲など。もし最近追っていないという方がいれば、現在進行形で変わり続けるRADWIMPSを聴いてみてほしい。
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