サカナクションのメンバーが影響を語るあのアーティスト
札幌が生んだ2000年代以降を代表するテクノポップアーティスト・サカナクション。彼らが自身の結成に影響を与え、今なお尊敬を語るアーティストがいることをご存じだろうか?
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くるりである。京都発・様々なジャンルを縦横してきたベテランバンドが、サカナクションに大きな影響を与えた名曲『ワールズエンド・スーパーノヴァ』のMVが2020/04/24に、2002年の発売から18年の時を経て公開された。朝の情報番組でVo.山口一郎が、サカナクションの結成に関わった1曲として紹介した名曲を、まずは聴いていただきたい。
ワールズエンド・スーパーノヴァ
一聴してわかるサカナクションへ与えた影響。この曲の革新性は、それまでギターロックを演奏してきたくるりが、電子音楽を前面に押し出しつつ、高いクオリティで彼らの世界観の中に落とし込んだところにある。
サカナクションのギタリスト・岩寺基晴は「ワールズエンド・スーパーノヴァ」で「可能性が開けた」と話している。ロックバンドがテクノやエレクトロを基にした音楽を演奏するという、サカナクションのスタイルの原型がこの曲なのである。
両者をつなぐレイ・ハラカミ
日本を代表する電子音楽家レイ・ハラカミ。くるりに影響を与えた友人であり、名曲「ばらの花」のRemix(※)をシングル「ワールズエンド・スーパーノヴァ」に提供している。
そしてレイ・ハラカミを敬愛し、普段から音源を持ち歩いていると語るのが、サカナクションのヴォーカル・山口一郎である。数年前に朝の情報番組で語った、彼が常に持ち歩いている曲が「Owari no Kisetsu」だ。
どこか”こもった”ような浮遊感と、緻密に作り上げられた不規則なリズム。小さく波打つように胸を熱くするメロディ。サカナクションの前身となったロックバンド・ダッチマン(※)で煮詰まっていた山口一郎が、テクノ路線に振り切っていくきっかけとなった1曲だという。
ネイティブダンサーのRemix
レイ・ハラカミへのアプローチの末に実現したのが、彼によるネイティブダンサーのRemixだ。2ndシングル『アルクアラウンド』のB面に「ネイティブダンサー (rei harakami へっぽこre-arrange)」が収録されている。
叶わなかった二度目のRemix
その後、2010年にサカナクションが生み出したロック色の強い「目が明く藍色」でも、山口一郎はレイ・ハラカミのRemixを熱望。初期のくるりを思わせるフォーキーなロックと、QUEENのようにプログレッシブな展開を、レイ・ハラカミはどのように自己の作品へと昇華するのか。
しかしレイ・ハラカミは2011年7月27日に脳出血のため急逝。Remixは実現されなかった。
「ばらの花」×「ネイティブダンサー」
時は流れて2019年。レイ・ハラカミがかつてRemixしたあの2曲が、相鉄の都心直通記念ムービーにてマッシュアップ。ヴォーカルはソロからバンドに転身したYUI(FLOWER FLOWER)とミゾベリョウ(odol)が担当。
100年続いた鉄道のように、音楽も繋がっていく。
おわりに
くるりとレイ・ハラカミ、二組に多大な影響を受けながらサカナクションは、彼らの独自性を切り開いてきた。彼らがいなければ、今のサカナクションは存在しなかったかもしれない。そして電子音楽とバンドサウンドが混ざり合う現在の音楽シーンにおいて、本日紹介した楽曲群の与えた影響は計り知れないだろう。
音は伝っていく、サカナクションのその先の世代へと。それでは。
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