【星野源】名曲「ギャグ」がアルバム未収録の理由は東京事変の亀田誠治?

星野源が10/14にリリースするEP『Same Thing』で衝撃のコラボ制作解禁。その中で注目を集めるのが、過去に一度だけ編曲を依頼した「ギャグ」だった。
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コラボ解禁EP『Same Thing』

星野源が10/14にリリースするEP『Same Thing』は、これまでの活動から考えれば、特異な作品と言える。星野源は、自分自身で作詞・作曲・編曲をする(=セルフ・プロデュース)ことにこだわってきたからだ。

本作でコラボが発表されたのは、新進気鋭の多国籍ポップバンド・Superorganismと、宇多田ヒカルを始めとした多数のミュージシャンから賛辞を贈られるラッパー・PUNPEE。星野源がこれまで取り組んできたブラック・ミュージック界隈のメインストリームにいる音楽家ではない。意外な人選である。

またワールド・ツアー解禁や、Twitterのアカウント名にGen Hoshinoと書くなど、新しい試みが見られる近頃の星野源。そちらの考察は他の記事に任せるとして、今回はこれまでに一度だけ彼が他者に編曲を依頼した楽曲「ギャグ」について、書いていこうと思う。

「ギャグ」

「ギャグ」は2013年に公開されたアニメ映画『聖☆お兄さん』の主題歌として提供された楽曲。星野源が『Same Thing』をリリースするまでの間に、一度だけ編曲者を入れた作品である。そのアレンジャーに選ばれたのは、東京事変のベーシストとして知られる亀田誠治だ。平井堅「瞳をとじて」いきものがかり「笑ってたいんだ」など、多数のヒット曲を生み出している名編曲者である。
「ギャグ」を聴いて頂ければ、J-POPの王道展開が詰め込まれた売れそうな楽曲に仕上がっていることが分かるだろう。

    1. 「SUN」のように黒人音楽を意識し、アクセントが入れ替わっていく四つ打ちのドラムではなく、ポップで踊りやすいシンプルな四つ打ちになっている(黒人音楽のグルーヴよりも、ノリやすさ重視)
    2. ピアノの連弾で60~70年代のロックンロールやラグタイムなど、昔の曲の気配が感じられた「Crazy Crazy」「地獄でなぜ悪い」と違い、本作のピアノは歌を邪魔しない程度のポップな伴奏に留められている
    3. サビ前のBメロでは、「パン、パパン」という手拍子ポイントが設けられており、アイドル楽曲などのJ-POP王道路線のビートが採用されている

星野源がJ-POPの王道から外れた楽曲をリリースしてきただけに、違いを上げ始めるとキリがないが、星野源っぽくなさ、亀田誠治らしさが見られる楽曲と言えるだろう

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編曲が与える影響とは?

作詞・作曲が終わり、曲として一度完成したところで、編曲者がより良くなるようにアレンジしていく作業が、編曲である。こう書くと少し手を加えるだけに感じるかもしれない。しかし編曲前のデモテープは、未完成と言っていい状態のことが多い。

これは私見だが、わかりやすく料理に例えてみよう

  • 作詞・作曲は、じゃがいも・にんじん・たまねぎ・牛肉などの素材を用意すること
  • 編曲は具材をカレーにしたり、肉じゃがにしたり、はたまた完全なる創作料理にしたりと、与えられた材料から完成品を作り出すこと

編曲の影響はこれほど大きい。実際に亀田誠治の他の楽曲を聴いて見れば、「GAG」に彼の色が付いていることが分かる。

亀田誠治の他作と比較

亀田誠治の東京事変としての代表曲「透明人間」だ。サビを聴き比べて頂くと、四つ打ち、飛び道具的に入ってくる長岡亮介のギターなど、「GAG」と似ているポイントが見つかる(1:21~)。ギターが同一人物であることは一考の余地があるが、編曲者が楽曲に強い影響を及ぼすことの、証といえるだろう。

編曲前後で大きく変わる楽曲

上記番組では、いきものがかり「SNOW AGAIN」という楽曲を、名編曲者・島田昌典が編曲していく様子が記録されている。13:30~でアレンジ前と後を比較しており、編曲者が入ることで曲がどれほど変わるのかが良く分かる資料だ。

ちなみに完成作はこちら。

編曲を依頼することになった理由

このように大きく作品を変えてしまうため、星野源はこれまで編曲作業も自分で行ってきた。「GAG」に編曲者をいれることになったのには、ある事情があったのだ。

2012年に星野源はくも膜下出血を患い、活動を休止した。療養に専念したかいがあり、快方へと向かった星野源だったが、病気復帰後初のレコーディングとなった「GAG」では、体力的な事情から自分で編曲することが出来なくなってしまった

通常の楽曲であれば、体力の回復を待てばいいが、主題歌が未完成だからと言って映画の公開日は動かない。「GAG」の歌詞を見ればわかるように、この作品には自身が声優として主人公役を務めた『聖☆おにいさん』への愛と敬意がこもっている。なんとか公開日までに完成させなければならない。だから涙を呑んで、編曲者を入れることとなったのであろう。

お聞きいただいた通り、「ギャグ」は名曲である。ギャグ漫画への敬意と感謝、亀田誠二流のダイナミクスの効いた展開。しかしアルバムには収録されていない

星野源は自分だけで作った曲しかアルバムに入れないという強い決意で、映画タイアップまでついた「ギャグ」をシングル・リリースのみに留めたのである。しかもこの楽曲は、星野源が俳優としても音楽家としても世に知られるようになる前、2013年にリリースされている。少しでも世に出るきっかけが欲しい時期に、映画の主題歌をアルバムに入れないという決意。星野源の想いが垣間見えるエピソードである。

しかも値段がなぜか他のシングルより安い(Amazonだと新品で600円台)。この価格設定の理由は分からないが、「GAG」を聴くことで星野源の特異性が分かりやすくなってくるという点でも、ラストサビの劇的な展開からも、オススメの一枚である。

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おわりに

 

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他者による編曲を解禁した星野源の決断が、どれほど大きいものだったか、お分かり頂けただろうか。これまでとは全く違う仕上がりになるであろう、『Same Thing』に収録されるコラボ3曲。その公開と、その後の星野源の活動が楽しみである。

彼はどこに向かい、何になろうとしているのか。その答えが次にリリースされるEPに詰まっているような気がしてならない。今はただ、待とうと思います。それでは。

星野源 Single Box『GRATITUDE』発売

 

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