ベースの役割と奏法
ベースとは低い音を出す楽器で、バンドサウンドにおいて主にボトムを支える役割を担う楽器である。バンドの中ではドラムと合わせて「リズム隊」と呼ばれる。
ベースの奏法は大きく分けて「ピック弾き」「指弾き」「スラップ」の3種類がある。
「ピック弾き」はピックと呼ばれるプラスチック等で作られた薄い板を使って弦を弾く奏法で、音が硬質になり、粒が揃った安定感のある演奏ができる。
「指弾き」は文字通り、指を使って弦を弾く奏法で、音が柔らかくなり、弦を弾く時の力の強弱で細かいニュアンスを表現することができる。
「スラップ」は親指の側面で弦を叩いたり、人差し指や中指で弦を引っ張って離すなどして音を出す奏法で、アタック感が強くパーカッシブな演奏ができる。
以上の基礎知識を踏まえ、これから美しいメロディラインを構築するベーシストを紹介していこうと思う。
ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)
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バンド「OKAMOTO’S」のベーシスト。指弾きを基本スタイルとし、スラップも多用する。
現在「星野源」など様々なアーティストのサポートメンバーとしても活躍する新進気鋭のベーシストである。
お笑いコンビ「ダウンタウン」のツッコミ、浜田雅功の息子だというのも有名なエピソード。
楽器メーカー「FENDER」とエンドースメント契約(報酬を貰う代わりにそのメーカーの機材を使用する契約)を結んでおり、これは一流のベーシストだと認められている証でもある。
彼のプレイはバランス感覚に優れており、存在感を出しつつも楽曲の邪魔をせず、年齢にそぐわない程に成熟されている印象を受ける。
自身のバンドの曲『NO MORE MUSIC』でも、彼の魅力が存分に活きている。
ボトムを支えつつ時折遊ぶようなフレーズを弾き、曲にオシャレ感を演出している。日本人離れしたセンスが垣間見える1曲だ。
そしてドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌として、星野源を一躍大スターにした『恋』という曲。ここでも彼のプレイが冴え渡っている。
大部分はボトムを支えるプレイに徹しているのだが、要所要所で歌と同じメロディを弾くなど、効果的にアクセントを加えている。彼の魅力であるバランス感覚が発揮された曲である。
この2曲を聴いただけでも彼の魅力がお分かりいただけると思う。これからも様々な楽曲で彼のベースを聴くことになることは間違いない。今後とも要チェックなベーシストである。
岡峰光舟(THE BACK HORN)
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バンド「THE BACK HORN」のベーシスト。指弾きを基本スタイルとしている。和音を用いるなど、多彩なテクニックから生まれる感情豊かなフレーズが持ち味。
ベースを始めたときはハードロックやメタルといったジャンルをプレイしており、多彩なテクニックが身に付いた理由として、そういったプレイ遍歴が大きく関係していると思われる。
ボトムを支える所、前に出てメロディアスに弾く所のメリハリの付け方が上手く、そのメロディアスなベースラインは聴く者を陶酔させるような力がある。
THE BACK HORNの名曲『キズナソング』では、先に述べた彼の魅力が凝縮されている。
イントロをメロディアスにスタートしつつ、Aメロ、Bメロではしっかりとボトムを支える。そしてサビで爆発的にベースラインを歌わせる。緩急の付け方が秀逸な作品である。
彼は今年で40歳を迎え、奏でる音も成熟された色味を帯びてくることが予想される。これから、どんなベースラインを聴かせてくれるか非常に楽しみである。
直井由文(BUMP OF CHICKEN)
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言わずと知れたモンスターバンド「BUMP OF CHICKEN」のベーシスト。指弾きを基本スタイルとしている。バンドのムードメーカー。
趣味は写真(シングル『オンリーロンリーグローリー』のジャケット写真は彼が撮影)。
彼のベースプレイの魅力は、藤原基央(Vo.Gt)の紡ぎ出す詞と曲、その深い世界に完全に寄り添い、支え、助長しているところである。
デビューしてからの彼のベースラインは、躍動的でメロディアスなものが殆どであった。
気持ちいいほどに躍動的なベースラインが楽曲を見事に盛り上げている。
2004年の『オンリーロンリーグローリー』辺りからは、タイトにボトムを支えるようなプレイも多く見られるようになった。
ストイックかつタイトにボトムを支えている。彼の卓越したリズム感が伺える1曲である。
近年では、躍動的でありながら落ち着いた深みのあるベースラインを聴かせてくれている。
BUMP OF CHICKENのベーシストとして、今後どんどん進化することが予測される直井由文。2019年07月10日に発売されるアルバムではどんなベースラインを聴かせてくれるのだろう。
tetsuya(L’Arc〜en〜Ciel)
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今や世界に活躍の場を広げているバンド「L’Arc〜en〜Ciel)」のベーシスト。ピック弾きを基本スタイルとしている。
彼の魅力は何と言っても縦横無尽に動き回るベースライン。ベースの役割の根幹を覆すが如く、常に何らかのメロディを奏でている。
そのメロディは複雑かつ独創的で耳に残り、思わず口ずさんでしまいそうになるほどである。
ベースにおいて、このようなアプローチをすると楽曲のバランスを乱しがちになるのだが、彼の場合はバランスを乱すどころかバンドの中心となり「L’Arc~en~Ciel」のサウンドを作り上げている。
これまで述べてきた彼の魅力が伝わりやすい曲として『snow drop』と『Pieces』が挙げられる。
歌うようなベースラインに効果的な和音がアクセントとなり、非常に印象に残る曲に仕上がっている。思わず口ずさみたくなるベースラインというのがお分かりいただけたと思う。
『HEAVEN’S DRIVE』では、うねりまくるベースラインを披露している。
激しくうねりながらも、しっかりとメロディを構築している辺りは流石である。
これまで何百回と「L’Arc~en~Ciel」の曲を聴いてきた読者も多いと思うが、ベースの音に注目して再度聴き直してみるのも面白いかもしれない。
亀田誠治(元 東京事変)
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音楽プロデューサー。元「東京事変」のベーシスト。ピック弾き、指弾きを楽曲によって使い分けている。
彼は音楽プロデューサーとして、「平井堅」や「いきのもがかり」など数多くのアーティストの楽曲を手掛けてきており、素晴らしい作品を世に送り出しているのだが、今回はベーシストとしての「亀田誠治」に触れてみたい。
「椎名林檎」率いるバンド「東京事変」のベーシストとして放つ彼のベースラインは、遊び心に溢れ、叙情的で、聴く者を陶酔させるような魅力を持っている。
例えば、遊び心が垣間見えるベースラインを聴かせてくれるのは『スイートスポット』
4拍子の4つ目の音を食いぎみに弾き、見事に心地よい違和感を生み出している。
叙情的なベースラインが魅力的な『遭難』
オシャレなベースラインをゴリゴリした質感で激しく鳴らす。これが楽曲の持つ激情性を加速させている。また、楽曲に対する距離感の取り方も素晴らしい。
それが一番分かりやすいのは『スーパースター』
魅せるとこで魅せ、押さえるところは押さえる。このバランス感覚は天才的である。楽曲のモデルとなった野球選手「イチロー」を表現したようなベースラインだ。
既に「東京事変」は解散してしまっているが、2016年の紅白歌合戦に出場した「椎名林檎」は東京事変のメンバーと『青春の瞬き』という曲を披露した。
その時の映像は無いが、本当に感動的で心が震えるパフォーマンスであった。願わくは再結成し、再び素晴らしい音を聴かせて欲しい。
最後に
ここまで、メロディアスなベースラインを構築する日本人ベーシストを5人紹介してきた。
ベースという楽器は地味に思われがちだが、実は奥が深く、音楽を構成する非常に大きな要素となっている。これから音楽を聴くときは、ベースラインを耳で追いながら聴いて欲しい。
音楽がもっと好きになるはずである。
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