【祝祭感があふれだす】新しい民謡を作ったバンド9選

まるでお祭り!?民謡を取り入れた新しいバンドサウンドに注目!
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民謡×○○

近ごろ民謡やわらべうたを取り入れるバンドが増えている。邦楽の現代史は、日本語との戦いと葛藤の歴史だ。日本語を取り入れすぎると演歌っぽく聴こえるというのが、その主な理由だった。

だからアーティストたちは英語を取り入れ、早口に歌うことで歌詞から日本語感を奪っていった。サザンオールスターズの桑田佳祐が書く詞なんて、全部日本語でも英語みたいに聴こえるときがある。

邦楽が洋楽化したからこそ、日本文化リバイバルがやってきたんだろう。日本の風俗に根差した音楽と、様々なルーツミュージックをミックスするバンドが増えてきた。

しかしそのアプローチを何年も前から試していたバンドもある。いわば日本語嫌いの邦楽シーンに対するカウンターカルチャーだろう。そういったベテランバンドから若手バンドまで織り混ぜて紹介しよう

馬喰町バンド

日本の民謡・わらべうたと世界の民族音楽をミックスすることで、根無し草なルーツミュージックを生み出している面白いバンド。コンセプトは「ゼロから始める民俗音楽」だそうな。この太鼓なんていかにもどこかの民族の伝統的な楽器っぽいけど、まさかの手作りだ。

2015年に新しく生み出されたとは思えない、不思議な懐かしさがある曲。

HIPHOPと融合

HIPHOPと融合した曲もある。ギターのような自作の弦楽器を弾いていて、広がりのあるアジアっぽい音がする。MVの絵には限りなく民族的なのに、どこの国にも属していない彼らの浮遊感が表れててすごく良い。

ウリチパン郡

2010年に活動を休止したウリチパン郡というバンド。打ち込み+バンド+様々な民族音楽のエッセンスを、民謡っぽい歌でまとめるという凄まじい1曲が『パヤパヤ』だ。

POPSの究極のすがたは、わらべうたかな?
このアルバムを聴いていて、フトそんなことを思いました。
すごく時間をかけて、ていねいにつくってあるね。
坂本龍一

引用:YouTube

坂本龍一は「パヤパヤ」収録アルバムの『ジャイアント・クラブ』についてこんな風に書いている。2000年代の忘れてはいけない一枚だ。持っていて損はないだろう。

サンポーヨシ

京都発、盆踊り特化型バンド。この人たちはナチュラルに盆踊り大会の真ん中で演奏したりする。なんなら盆踊り大会を主催することもある。

「サンポーヨシ」は、滋賀を中心とした地域で踊られている「江州音頭(ごうしゅうおんど)」を中心に演奏していますが、様々な背景を持つメンバーたちが、江州音頭の古いビートを探り再構成する事で、「伝統的でもありながら現代的でもある」独特のスタイルを獲得しています。

引用:Easy + Nice レーベルのblog

最近ボンジョビとかSuchmosで踊ったとか聞くけど、江州音頭で踊らせに来る彼女たちはマジもんの日いづる国の民。2018/8/22に1stアルバムを発売、全曲bandcampで視聴できるようだ。

Sampoyoshi, by Sampoyoshi
8 track album

同じ音頭が様々なアレンジで入っていて面白い。

アラゲホンジ

これも独特のバンドで、明らかに民謡から持ってきた歌メロを、ブラックミュージック的にグルーヴィーなベースとギターが支えている。途中で完全にお祭りになるところもあれば、カオスなフリージャズになったり、スカになったりと忙しい曲だ。

色々なルーツを混ぜることで上手く民謡の祝祭感を生み出している。それにしても良いMVだ。なんだかよくわからないけど胸の奥に湧いてくる熱さ、これが祭りということなんだろう。

TURTLE ISLAND

アイリッシュ・パンクのような暑苦しさを纏わせつつ、超民族的で無国籍なサウンドが重ねられる。大量の打楽器によるビートの応酬を引っ張るのは、自暴自棄ともいえるヴォーカルの叫び。

Turtle Island fuses traditional Japanese carnival beats with other musical elements including distorted guitar, Indian music, and Korean traditional music, all held together with a punk rock background.

引用:YouTube

どうやら日本の祭りっぽいビート+インドの民族音楽+韓国の民族音楽の要素をパンク・ロックでまとめたらしい。世界のお祭りソングの集合体だ。確かにこれは踊るしかない。

キウイとパパイヤ、マンゴーズ

カオスなMVが付けられているのは、板橋を本拠地に世界を旅するキウイとパパイヤ、マンゴーズの『東京のフォホー』。東京ダンス歌謡集団という、なんだかわからないけどワクワクする名乗りを上げているバンドだ。

メンバーにシタール弾ける人がいたり、いい声のヴォーカルが歌う箏曲家を名乗っていたりといろいろカオスだが、その混沌を良いアレンジでまとめ上げていてすごい。これは確かに世界に輸出したくなる。

ちなみにドラムは在日ファンクの永田真毅。こんなところで出会うとは。

切腹ピストルズ

櫓から民衆を扇動するのは、和楽器でパンクを演奏する切腹ピストルズだ。関東の「八木節」をやけくそにしたという「自棄節(やけぶし)」という曲を演奏している。

初めて見たときには、まさかこんなにライブが激しいバンドだと思わず、モッシュの波に飲み込まれて倒れそうになった。しかし心構えを持っていけば、こんなに踊れて楽しいバンドは無いと思う。

彼らは江戸庶民がハレの日にやっていたどんちゃん騒ぎ、それを現代に復活させようとしているのだ。DNAに刻まれたリズムに体はおのずと踊りはじめ、気が付くと江戸時代にタイムスリップしている。そんなバンドなのである。

南部式

日本伝統の口上をライブの度に入れるのは、鹿児島のバンド南部式。Vo.テラバル仁太は元々ブラックミュージック好きで、HIPHOPのDJとして九州では有名人だったそう。口上を自由度の高いラップと捉えているのが面白い。

また独特の音はゴッタンと呼ばれる南九州の楽器を改造し作り出した、三味タンという独自の弦楽器によって作られている。

聴いてもらえればわかるが、歌とMCがめちゃくちゃ上手い。この盛り上げ上手っぷりは色々なところに登場してもおかしくない。しかし南部式は鹿児島の山田村という所を村おこししている人たちでもあり、お目にかかれる機会は少ない。

黒船

ジャズバンド「TRI4TH」のベーシストが新たなハイブリッド民謡の創出を試みるプロジェクト。彼のルーツであるジャズに加えられるのは、津軽三味線と島唄、日本の北と南の伝統芸能。”津軽三味線最年少日本一”の白藤ひかりと”奄美の歌姫”里アンナがそれぞれ担っており、ジャズと民謡、どちらの側面から見てもガチなバンドになっている。ジャズに島唄を合わせる工夫だけでなく間奏もプログレッシブなところに、新たな音楽を生み出してやろうという気概を感じる。ビジュアル的にも迫力があって、ぜひ注目したいバンドだ。

愛知へ行こう

今回紹介したアーティストたちはどこで見れるのか。主に愛知だ。

橋の下世界音楽祭

愛知では橋の下世界音楽祭という日本とアジアの土着文化に注目した巨大イベントが行われており、たくさんの民謡バンドを見ることが出来る。しかも入場無料だ。先ほどの切腹ピストルズの映像を見て頂けるとわかるが、本当に橋の下だ。

今年は終わってしまったが、TURTLE ISLAND/切腹ピストルズ/南部式が出演した。独特の空気を体験しに行ってほしい。

トヨタロックフェスティバル

橋の下世界音楽祭と同じ豊田市の豊田スタジアム外周で、入場無料のイベントが10月13~14日に行われる。まだ発表第2弾なのだが、すでにTURTLE ISLANDと馬喰町バンドの出演が決まっている大注目のフェスだ。お近くの方はぜひ。

おわりに

単に日本の伝統を再現するのではなく、分解・ミックス・再構成していく姿勢を持ったバンドを紹介してみた。ミクスチャー(複数のジャンルが混ざった音楽)は日本のお家芸だ。プロデューサーもバンドマンもシンガーソングライターも、世界中の音楽を取り入れてきた。

それに日本伝統の要素を足すことで、親しみやすさや祝祭感を持った新しいルーツミュージックが生まれてきたのだ。こういったアーティストは常に存在するが、しかしまだ大きな波は起こせていない。

近頃ようやく盆踊りがカジュアル化してきた。その流れはいったいどんな影響を及ぼしていくのか。そういやボンジョビってジョン・ボンジョビかボン・ジョンボビか分からなくなることあるよね。それではまた会いましょう。

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