浪漫革命『あんなつぁ』
結成3か月でのサマソニ出演や、映画『屍人荘の殺人』で劇中歌に採用されたことで話題になってきた京都の革命児たちが、2019年にリリースした配信シングル『あんなつぁ』。高田渡の「生活の柄」のオマージュと思われるフレーズやカノンの洒落た引用の上で、地に足の着いた愛と別れが歌われる。優しいコーラスワークと共に展開していくMVは、一本映画を見たような心地。
7月22日に上記「あんなつぁ」含む、Newアルバムが発売されたとのこと、要チェック。
never young beach『サイダーのように言葉が湧き上がる』
ネオ・シティポップの旗手として認知されつつあるnever young beachから、サイダーのように爽やかな1曲。イントロのギターフレーズから80年代の風が吹き抜ける。
同名のアニメ映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』の主題歌として書き下ろされた。シンプルに良い表現じゃないか。サイダーのように言葉がとめどなく、底から浮かんでくるのだ。しかしこの映画、まだ公開されていないが積乱雲の書き方が80年代のイラストっぽくて良い。
踊る!ディスコ室町『楽しいのがいい』
京都は室町通のアパートの一室から、ファンキーでトロピカルな1曲「楽しいのがいい」が公開されている。重層的なリズムと、サプライズ的に入ってくるホーンセクション、そして何よりハスキーな声で歌われる詞が良い。
んoon『Summer Child』
んoon(ふーん)の発明は、ウィスパーヴォイスでR&Bを歌ったことだろうか。それとも画期的なハープの使い方だろうか。Vocal,Keyboard,Bass,Harpという彼女たち以外には聴いたことが無い編成も、どこか文学的な歌詞も、確かな経験が刻まれたグルーヴも、全てが素晴らしい。唯一無二のバンドだ。
cero『Summer Soul』
蒸し暑い夜に度に出たくなるceroの名曲。シティポップのリバイバルを日本に巻き起こした張本人と言っても過言ではない彼らが、2016年にアルバム『Obscure Ride』の中に織り込んだリード・トラックとして、多くのシティポップ・リスナーに親しまれてきた。フルートの涼しげな音色は、ヴォーカルを務める高城晶平自身によるものだろう。多芸で多彩なルーツを持った玄人集団。
HALFBY『Slow Banana feat. Alfred Beach Sandal』
DJ・高橋孝博 によるソロプロジェクト。こんなに切なく撮ったハワイの映像見たことない。ヴォーカルを務めたAlfred Beach Sandalの柔らかい声とHALFBYのビートのコラボが描き出すのは、真夏の夜の夢。思えば邦楽では夏の恋が刹那的で、すぐに過ぎ去ってしまうものとして歌われてきた。この価値観は世界共通なんだろうか。
おかもとえみ『POOL』
ポップバンド・フレンズのヴォーカルとしても活躍する元ギャルシンガー・おかもとえみ。涼しげなビートの上で切なく歌い上げる『POOL』は、HIPHOP関連の方々にも注目を集めた1曲。トラックは江本祐介(Enjoy Music Club)作。
佐藤千亜妃『Summer Gate』
活動を休止したバンド・きのこ帝国のヴォーカル佐藤千亜妃のソロデビュー作。バンドでの活動と一線を画したエレクトロなサウンドは、砂原良徳(METAFIVE,ex-電気グルーヴ)のプロデュースによるもの。誰にだって夏の扉は開く。
kiki vivi lily × SUKISHA『Blue in Green』
グルーヴの上に独自のポップネスを実現させてきた魅惑のシンガー・kiki vivi lilyから夏の嵐の夜を思わせるジャジー・ハウス『Blue in Green』だ。ベースとビートの絡みが非常にカッコいいので、ぜひ低音が聴ける環境で視聴してほしい。彼女とコラボしたトラックメイカーSUKISHAが、トラック・歌詞・メロディを制作した。
あだち充の名作野球漫画『H2』の、ヒロインが夏の嵐の最中に物置へ閉じ込められるシーンからインスパイアされているとのこと。
cero『街の報せ』
湿気の強いけだるい夜を思わせるたわんだビートと、リズムが遅れて取られたベースの上で、メロウに歌い上げられる「愛おしい夜」の話。人がいない駅前で自分だけのひと時、のどを潤す缶コーヒーの甘み。夏の夜に映画館に行ったことはありますか?
bonobos『Cruisin’ Cruisin’』
2003年にメジャーデビューしたのち、様々な楽曲をリリースしてきたbonobosの、同じく夏の夜を想起させる1曲。ワウの効いたギターと、グルーヴィーなピアノが印象的。ピアノを演奏している田中佑司は、過去にくるりでドラムを叩いていたという異色の経歴の持ち主で、このグルーヴ感のあるピアノにもうなずける。
Jinmenusagi x kiki vivi lily『夏は終わらない』
夏の終わりに反旗を翻すチルでメロウな一曲。kiki vivi lilyとラッパーJinmenusagiの掛け合いが浮かび上がらせるのは、どこかノスタルジックな夕暮れの情景。今年も短いあの季節が駆け抜ける。
おわりに
夏のけだるさとチルなビートは相性がいい。
今後も曲を追加していくので、ぜひまた戻ってきてほしい。それでは。
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